2024年 5月 11日 (土)

放射性物質の規制値「基準緩和せず」 国民の不安が強いことを考慮

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専門家はセシウム10ミリSvまで緩和でほぼ一致?

   福島と関東の8都県知事が3月28日、政府に暫定値の見直しを求めていたほか、専門家から「諸外国より厳しすぎる」との声が出ていた。実際、食品安全委の議論でも、そうした意見が多かった。関係者によると、ヨウ素については、暫定値を緩めようとする意見もあったが、世界保健機関(WHO)が制限値を年50ミリSvとしていることを重視し、現状維持が決まった。放射性セシウムについては、食品安全委の14人の専門家が、10ミリSvまで緩和しても「不適切とする根拠はない」との意見でほぼ一致したものの、事務局が現状を維持する姿勢を崩さなかったという。

   このため、発表文の表現を巡って2度中断したあげく、最終的に5ミリSvを妥当としながら、緊急時は10ミリSvに引き上げることを認める余地も残すという、すっきりしない結果になった。中には「議論と結論が違う」と戸惑いを隠さない委員もいる。

   この結果に、「数値をわずかに超えただけで出荷停止になっている農産物もあり、緩和を期待していただけに、残念」(農業県担当者)との恨み節が聞こえる。

   一方、政府関係者は、「暫定規制値を緩和しても、原子力安全委員会の指標値と二重基準になる。それまで駄目だったものを、途中から安全と言っても、国民の理解は得られない」と説明する。

   食品の安全問題に詳しいジャーナリストは「今回は、原発事故の行方が見通せない中、国民の不安が強いことを念頭に、役所主導で厳しい基準を追認した。ただ、食品安全委は『科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う』のが使命なのだから、科学的には緩めても問題はないが、国民の不安に配慮して暫定値を維持した、というように説明すべきだった」と指摘している。

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