2024年 4月 30日 (火)

三菱UFJがモルガン出資拡大 筆頭株主のメリット何なのか

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   三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、米金融大手モルガン・スタンレーへの出資比率を20%超に引き上げ、筆頭株主になる。「邦銀が米金融大手を連結対象にするのは初めて」と胸を張るが、具体的なメリットは見えにくい。

   一方、旧三菱UFJ証券が母体の三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、複雑な金融商品の自己売買に失敗して1000億円もの損失を抱え、2011年3月期に1450億円の大幅な赤字に陥った。金融業界では「MUFGの米モルガンへの出資比率引き上げのメリットは巨額損失の印象が薄らいだことくらい」との声も聞かれる。

発言権高まるが経営支配できるわけではない

   「海外業務を前進させるうえで意義深い」。MUFGの平野信行副社長は会見で、モルガンのノウハウを活用すれば、M&A(企業の合併・買収)や北米・アジア展開を強化できると説明。筆頭株主になるメリットを強調した。

   MUFGはリーマン・ショック直後の2008年秋、経営危機に陥ったモルガンに優先株の形で90億ドルを出資した。今回の普通株転換により、20%超の議決権を握る。ただ、追加出資は「考えていない」(平野副社長)としており、大株主としての発言権は高まるものの、経営を支配できるわけではなく、従来1人派遣していた取締役を2人に増やすにとどまる。

   利益面では、モルガンの連結対象化に伴い、2012年3月期中に2000億円の一時的な利益を計上するほか、モルガンの利益の2割を自らの利益に毎年上乗せできる。現在のモルガンの利益水準が続けば、年間800億円の増益効果が得られる計算だが、投資銀行は市場環境や景気変動による収益のブレが大きく、連結対象化は「両刃の剣」(大手行幹部)でもある。

   一方、モルガンのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で、優先株の解消が「今年の最優先課題だった。解決の絶好の機会だ」と指摘した。MUFGの優先株は配当利回りが10%と高く、モルガンにとって負担が重かったうえ、他の株主からの批判も強かったためだ。

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