2024年 5月 4日 (土)

都内の水道水中の放射性物質 連続して「不検出」になる

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   東京電力の福島第1原発の水素爆発以降、東京都内の水道水から検出されていた放射性物質が2011年5月4日以降、連続して「不検出」の状態となった。東京都は各浄水場のほか、東京都健康安全研究センターが新宿区百人町の水道の蛇口から取水した水道水に含まれるヨウ素131、セシウム134、セシウム137を毎日検査している。

   原発事故の影響がやっと低減したことがうかがえる。しかし、同センターが同じく調べている都内の塵や雨からは、ヨウ素131やセシウム137が断続的に検出されている。

金町、朝霞、小作、東村山の4浄水場すべて「不検出」

   関係者によると、都内の水道水を実際の蛇口から取水して調べる公的機関の検査は、同センターの公表データが唯一という。このほか東京都は、都内の金町、朝霞、小作、東村山の4浄水場で取水した水道水についても放射性物質の検査結果を公表しているが、いずれも「不検出」が続いている。

   ここで注意したいのは、「不検出」とは放射性物質がゼロになったのではなく、検査機関が検出できる最小値(限界値)に達したということだ。このため各浄水場のデータには検出限界値が示されている。東京都は放射性物質の検査について、4月14日までは「速報性を重視したため、精度の高い検出ができなかった」が、15日以降は「測定時間を延長して、より低い濃度まで測定できるようになった」と説明している。新宿区百人町の水道水、各浄水場の水道水とも、検出される放射性物質の値はゆっくりだが、時間とともに低くなったのは事実だ。

   東京都内の水道水をめぐっては、東京都水道局が3月23日、葛飾区の金町浄水場で22日に採取した水道水から、乳児の飲用に関する政府の基準の約2倍に当たる1キログラム当たり210ベクレルのヨウ素131を検出したと発表。23日採取の水道水からも190ベクレルが検出され、飲用制限のパニックとなった。東京都が水道水で溶かした粉ミルクを乳児に飲ませないよう呼びかけたのは前代未聞で、原発事故の深刻さを東京都民も実感せざるを得なかった。都内のスーパーマーケットやコンビニのミネラルウォーターが姿を消したのは記憶に新しい。

食品衛生法で、乳児は1キログラム当たり100ベクレル以下で

   日本産科婦人科学会が、検出された数値よりも濃度が高い500ベクレルの水道水を、280日間の妊娠期間中に毎日飲んだ場合の被曝量は約3ミリシーベルトで、母乳に分泌される量はその4分の1程度で、胎児に影響が出るとされている50ミリシーベルよりかなり低いことなどを訴えたが、「ミニパニック」を押さえるには至らなかった。

   金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水し、東京23区と武蔵野、町田、多摩、稲城、三鷹市に供給している。放射性ヨウ素について、政府は食品衛生法に基づく基準で、乳児は水道水1キログラム当たり100ベクレル、それ以外は同300ベクレルを超える場合は飲まないよう定めている。基準を超えた金町浄水場のヨウ素131の数値は3月22日の210ベクレルをピークに、23日に190ベクレル、24日に79ベクレルに下がったため、東京都は24日に取水制限を解除した。

   しかし、その後も各浄水場や新宿区百人町の水道水からは放射性物質の検出が微量ながらも続いていた。

   東京都によると、都健康安全研究センターが取水する新宿区百人町の水道水は、朝霞浄水場が7割を占め、乳児の飲用制限の原因となった金町浄水場の比率は低いという。それでもヨウ素131は5月3日まで、セシウム134は4月25日まで検出されていた。

   水道水の放射能汚染は、ひとまず収束の方向だが、気になるのは都内の塵や雨といった降下物に含まれる放射性物質の値だ。同センターは水道水と同じく新宿区百人町の大気についても毎日検査しているが、セシウム137は5月に入ってからも7日、8日と連続して検出され、ヨウ素131も5月6日に検出されるなどしている。

   同センターは「大気中に拡散している放射性物質が雨と一緒に地上に落下したためとみられる」と説明しているが、微量な放射性物質が塵としてなお浮遊しているのは確かだ。

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