2024年 5月 2日 (木)

民主と自民がもくろむ 理念なき「大連立」

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   「大連立」という名の「菅降ろし」が急加速してきた。菅直人首相の早期辞任を前提とし、民主党と自民党が大連立を組み協力するというシナリオだ。政策の違いが大きいのに、はたして実現できるのか。

   2011年6月6日、枝野幸男・官房長官は、「菅首相の早期退陣後の大連立」の動きについて、震災対応に「スピード感」が必要なため、「国会で幅広く協力頂ける態勢が望ましい」と前向きな姿勢を示した。

岡田幹事長「期限とテーマ決めて」

菅首相はいつ決断するのか。
菅首相はいつ決断するのか。

   6月5日には、民主・岡田克也、自民・石原伸晃の両幹事長が、NHK番組でともに大連立をめざす意向を示した。岡田氏は「期限とテーマを決めて」、石原氏は「閣内、閣外、いろんな協力がある」「(6)月内に(菅首相は)辞めて新代表と話を」と述べた。一方、公明党の井上義久幹事長は、「(大連立は)言うは易し、行うは難しだ」と慎重姿勢を示した。

   菅首相が2012年1月ごろまでの居座りを示唆した、との受け止めが広がる中、「早急に6月退陣を」と迫る声は、民主党内で鳩山由紀夫・前首相を筆頭に激しさを増している。自民が「大連立」を掲げ「6月退陣」を要求することは、民主党内の菅降ろしの背中を強く押す形となる。

   「大連立」は、連立政権の形の中でも特に、第1党と第2党が組むことをさす。政策協定を結ぶのが一般的だ。「現代用語の基礎知識」(自由国民社)などによると、大連立に限らず連立の組み方には(第2党以下が大臣を出す)閣内協力と(大臣を出さない)閣外協力がある。

   理屈の上では「閣外協力の大連立」もあり得るわけだが、大連立の「語感」としては、閣内協力を連想させるようで、石原幹事長は別の番組で「大連立と閣外協力のふたつが(選択肢として)ある」とも述べている。

首相の座、自民に譲ってでも実行?

   最近では、ドイツが2009年まで約4年間、大連立政権だった。国内では、現在と同様衆参ねじれ状態だった07年秋、当時の福田康夫首相(自民)と小沢一郎・民主党代表の間で「大連立」の合意が成立したとされたものの、民主党内の大反発を小沢氏がまとめ切れず、ご破算になった経緯がある。

   民主と自民の「大連立」構想は、どんな状態が考えられているのか。震災復興政策のみに限定するのか。

   石原幹事長は6月5日のNHK番組で「復興だけでなく、景気の問題もある」として、電力不足による経済への影響なども含めて「全力であたれるよう、1日も早く新体制を」と菅首相交代を要求した。必ずしも「復興限定」とは考えていないようだ。

   「大連立」の具体的な期間の長さについてははっきりしないが、石原幹事長は、解散・総選挙の時期、すなわち「大連立が終わる」期限を明確化する必要性を訴えている。

   また、大連立の際に首相を民主から出すのか自民から迎えるのか、も注目される点だ。民主党内には「首相を自民に譲ってでも良いから大連立実現を」との指摘が出る一方、衆院選挙の時期を決める解散権を自民の首相に握られることになるため、「何としても首相の座は渡すべきではない」との声も根強い。

民主と自民では政策が「真逆」

   ところで、肝心の政策協定は本当に結ぶことができるのか。民主と自民では「真逆」の主張をしてきた政策も少なくない。

   結局はその後の協議は進まなかったものの、4月には民主、自民、公明が「3党合意」に至っていた。民主が子ども手当などのマニフェスト(選挙公約)を見直すことを前提に、公債発行を認める法案成立などへの「真摯な検討」を行うとするものだ。今後、「大連立」協議が具体化する際には、この合意がたたき台になる可能性もある。

   大連立が現実味を帯びる中、菅首相は退陣時期についてどんな決断を下すのか。岡田幹事長は「辞めるべき時期が来ても辞めないときには、『辞めてください』と言うのが幹事長の仕事だ」と6月5日、記者団に話している。

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