こんなに危ない病院の快適ベッド 看護協会の催しで知った怖い現実

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   日本看護協会が主催する「拡大医療安全推進会議」が2011年7月14日開かれた。看護師が責任を問われる医療事故も少なくないなか、都道府県看護協会や病院の医療安全担当者を対象に安全情報を提供して意見交換する場になっている。毎年開かれ今年で9回目になるという会を見学させてもらった。

   盛りだくさんの内容から注目したのは、アラームとベッド。

   横浜市立脳血管センターでは2007年7月、手術後の患者さんの監視モニターの警報音に看護師らが30分以上気づかず、意識不明の重体になる事故が起きた。坂井誠医師 (麻酔科) の報告によると、事故当時はモニター1台あたりで1時間に8回、病棟あたりでは54回ものアラームが鳴っていた。

   アラーム慣れが一因とみて、病院は医師、看護師、臨床工学技士らからなる改善チームを組織した。坂井医師をキャップとするチームは巡回時、必要なアラームかどうか、設定が適切かなどをチェック、細かな相談にも応じている。その結果、アラームの鳴る回数は3分の1に減ったという。坂井さんは「対処を必要としないアラームはできるだけ鳴らないモニターの開発」を要望した。

   聖路加国際病院は2009年夏から順次、古くなったベッドの更新作業を始めた。寺井美峰子・セーフティマネジャーの報告によると、新型ベッドは、寝床の両側の柵が電動で下げられるようになっている。ところが、そのレバーがベッドの中から手の届く位置にあり、患者さんがこれに触れて、柵のなくなったベッドから転落する事故が相次いだ。現在238 台を入れた段階だが、1年間で8件もこうした「事故」が起き、いまも続いているという。

   多くは認知症気味の患者さん。寺井さんらはメーカーに対し、カバーやストッパーなどの改良を要望している。医療機器と違って病院のベッドには一定の報告先がなく、他の病院での様子もわからないことから、寺井さんは「ベッドの安全情報を病院が共有できるシステムが必要」と訴えた。11年6月までの事故は聖路加病院で16件に達し、医療安全関係者グループ内の情報では他病院でも10件ほど起きているという。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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