2024年 4月 27日 (土)

日本の出生率わずかにアップ 団塊ジュニアが「駆け込み出産」?

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   出生率がわずかながら上昇している。厚生労働省が発表した2010年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)は、1.39と、前年を0.02ポイント上回った。

   2005年に1.26と過去最低を記録した後、2006年以降は上昇傾向に転じており、2008、2009年は1.37と横ばいで今回さらに上昇したことになる。

大都会での「ママ友効果」説も

   出生率は、人口の維持には2.07が必要。終戦直後の1947年は4.54だったが、第2次ベビーブーム(1971~74年ごろ)が過ぎて、75年以降は2.00を下回っている。

   出生率低下は、人口減と出生減の完全な悪循環による。

   もう少し細かく見れば、結婚の減少、つまり非婚率の上昇、そして結婚年齢が上がる晩婚化、出産年齢も上がる晩産化、という流れがある。女性の平均初婚年齢は2010年に28.8歳、第1子出生時の母親の平均年齢は同じく29.9歳で、過去20年でみると、それぞれ約3歳上昇している。晩婚化、晩産化の表れだ。

   では、近年の出生率の上昇は、どうしてなのか。第2次ベビーブームの団塊ジュニア世代が30歳代後半で、全体の出生数を押し上げたのは間違いないが、でも今なぜ上昇か、については、いくつか、説がある。

   一つが「駆け込み出産」説。この間の景気低迷で、出産を先延ばししてきた団塊ジュニア世代の女性が30歳代後半になり、そろそろ年齢的に限界に近づいた、と判断して出産に励んだというのだ。

   もう一つは、特に大都会での「ママ友効果」。都会では地域で知り合いがなかなか出来にくいが、子どもが出来て「ママ友」つながりができてくると、「もう一人産んでも育てられる」と考えるようになる、という。

出生率、中長期的にはどんどん下がる

   そうした説は説として、行政関係者などは、育児休業や、自治体独自の「手当」など公的な子育て支援策の効果を強調する。例えば東京都江戸川区は0歳児に月1万3000円の「乳児養育手当」を支給、中学生まで医療費の自己負担分を全額補助するなどの手厚い支援を実施している。その効果か、東京23区の中で出生率が一番高いという。

   ただ、現在の出生率の上昇は一時的との見方が一般的だ。なにしろ、団塊ジュニア世代が多く出産する時期を過ぎると、「お母さん」の絶対数が減っていく。15~49歳の女性人口は2010年は2649万人で、前年より3万9000人減。過去20年間では500万人も減っていて、これが10年後はさらに180万人以上減り、20年後には600万人近く減ると推計されている。 当然、出生の絶対数も減っていく見込みだ。2010年は前年から0.1%増えて107万1306人だったが、20年後には70万人を割り込む見通し。1人当たりの出生率が少々増えたくらいでは、総出生数はなかなか伸びないということだ。

   政府は7月に、新たな子育て支援策に関する中間報告をまとめ、その中で、保育園の待機児童対策として幼稚園と保育所を一体化する「総合施設」として「こども園」を創設することなどを打ち出し、こうした保育サービスの拡充に約1兆円を充てる考えを示している。

   ただ、野党との政策協議で「子ども手当」廃止を飲まされるなど、「社会全体での子育て」という民主党政権の金看板には陰りもみえる。ポスト菅の次期政権の枠組みがどうなるにせよ、出生数が減るようでは社会の活力アップは望めない。子育てを社会全体でいかに支援していくかは、大きな政策課題であり続ける。

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