2024年 5月 2日 (木)

贈答用リンゴ農家に打撃 福島原発「風評被害」に泣く

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   福島県の2011年シーズンのリンゴ収穫が終わった。福島第1原発事故から9か月が経つが風評被害は残っており、リンゴ販売の中でも特に贈答用と加工用の販売へは大きな影響が出ている。

   「約7キロ箱の農家の手取りが、例年1箱2000円のところが100円。これじゃあやっていけない、という時期もあった」。福島県北部のあるリンゴ農家は、今シーズンの異例ぶりをこう振り返った。

福島県は「果樹王国」

   「果樹王国」として知られる福島県はリンゴ栽培も盛んで、収穫量は例年、全国5位か6位あたりを占めている。品種では、お歳暮などに使われる「ふじ」が少なくとも6割以上ある。リンゴ農家は2500戸強で、多くはモモやナシなども栽培している。

   福島県農林水産部によると、リンゴを市場には流さず、インターネット販売などにより高値で需要がある贈答用としての販売に力を入れる農家が年々増える傾向にあった。しかし、今季は風評被害のため、その流れに大きな逆風が吹いた。

   福島市で「ふじ」を中心に約1ヘクタールのリンゴ園を含む平井果樹園を営む平井喜弘代表(45)は今季、例年は行わない農協(JA)へのリンゴ出荷を行った。贈答用の注文量が「3割程度」も減ったからだ。

   といっても、注文をしてくれた常連客の数が減ったわけではない。例えば「例年は1人で5か所へ送っていた人が、今年は3か所に減らした」といったことが相次いだのだ。

   贈答用の値段設定は例年とはほぼ変えず、品により10キロ3000円~5000円などで扱った。常連客から問い合わせが入ると、県によるモニタリング調査など安全確保への取り組みを説明した上で、「お歳暮を受け取る人に福島産リンゴで良いか、希望を聞いてみて下さい」と答えていたそうだ。

   福島県農林水産部によると、リンゴの放射性物質モニタリング検査を定期的に、また収穫時期には集中的に実施した。不検出のものが多く、検出されても1キロあたり50ベクレル以下のものが大半で、最も高い値が出た1例でも100ベクレル以下だった。国の暫定基準値は「500ベクレル以下」だ。

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