「エアコン世界一」の実力を見せつけた 「勝ち組」ダイキンが米国最大手を買収
2012.09.04 11:18
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撤退繰り返し、執念の挑戦
米国はエアコンの世界最大の市場だが、ダイキンは過去、撤退を強いられてきた。まず1980年代に、日本で生産した家庭用エアコンを米国に輸出しようとしたが、プラザ合意(85年)を機に一気に進んだ円高・ドル安で競争力を失い、88年に撤退。98年には家庭向けではなく、店舗暖房用エアコンで米社と合弁会社を作り、足がかりにしようとしたが、融合が進まないうえ利益も上がらず、2000年には早くも解消の憂き目に。
ダイキンはめげずに05年にダイキンとしての販売会社を米国に設立。業務用では一定の利益をあげているが、家庭用は設備方式の違いもあって攻めあぐねていた。
日本の家庭では部屋ごとに室外機と室内機をセットで置く方式が主流だが、米国は建物全体に通した配管で冷暖房の空気を送る「ダクト方式」が主流。米国でエアコンは日本にように家電量販店で買うものではなく、住宅設備の一つとして住む前に設置済みのものだ。このため、住宅設備会社とのネットワークがなければ、普及は困難。ダイキンはダクト方式も手がけており、住設会社とのネットワークを持つグッドマンなら米国市場の本格攻略も可能になるとの読みが、今回の買収劇の背景にある。
ただ、年間売上高が1600億円程度のグッドマンに2900億円を出すのは高すぎるとの反応も市場にある。思惑通りに米市場攻略で成果を出せるか、ダイキンの真価が問われる。