2024年 5月 2日 (木)

「エアコン世界一」の実力を見せつけた 「勝ち組」ダイキンが米国最大手を買収

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   ダイキン工業は2012年8月29日、米家庭用エアコン最大手のグッドマン・グローバルを37億ドル(約2923億円、1ドル=79円換算)で買収することを明らかにした。

   ダイキンはエアコンや化学品を手がける関西メーカー。得意とするエアコン事業は2010年度に世界首位に躍り出て、2011年度のエアコン事業の売上高も1兆400億円と首位維持している我が国で有数の「勝ち組企業」。世界シェア2、3位の中国メーカーに激しく追い上げられるなか、米国トップメーカーを傘下に収めることで首位固めを図り、相乗効果を生かして競争力をつける狙いだ。

今年3番目の大型M&A

   ダイキンは1924年に「大阪金属工業所」として大阪市で発足し、飛行機用部品などを生産するメーカーして出発した。戦前から化学品の研究・開発にも取り組んでおり、当時のフッ素系冷媒などの成果が、戦後のエアコンメーカーとしての成功につながった。

   1963年に「大阪金属」の略称だった「ダイキン」から、社名を現在のダイキン工業に改めた。現在の井上礼之会長兼最高経営責任者(CEO)は2000年代、関西経済連合会会長の有力候補にもなったように、関西の経済界の重鎮でもある。

   「お互いの強みと弱みを補え合える関係にあるのは世界でグッドマンしかいない。円高などの状況も判断を後押しした」。井上CEOは8月29日、大阪市内でグッドマンのデビッド・スウィフト社長とともに開いた買収発表会見でこう強調した。

   確かに1ドル=80円を切る円高・ドル安は、日本企業が海外企業を傘下に収めるM&A(企業の買収・合併)には追い風で、案件数、金額とも高水準が続く。ダイキンの案件は今年の日本企業によるM&Aとしては、丸紅の米穀物大手ガビロン買収、電通の英広告大手イージス買収に次ぐ3番目の規模になる。

撤退繰り返し、執念の挑戦

   米国はエアコンの世界最大の市場だが、ダイキンは過去、撤退を強いられてきた。まず1980年代に、日本で生産した家庭用エアコンを米国に輸出しようとしたが、プラザ合意(85年)を機に一気に進んだ円高・ドル安で競争力を失い、88年に撤退。98年には家庭向けではなく、店舗暖房用エアコンで米社と合弁会社を作り、足がかりにしようとしたが、融合が進まないうえ利益も上がらず、2000年には早くも解消の憂き目に。

   ダイキンはめげずに05年にダイキンとしての販売会社を米国に設立。業務用では一定の利益をあげているが、家庭用は設備方式の違いもあって攻めあぐねていた。

   日本の家庭では部屋ごとに室外機と室内機をセットで置く方式が主流だが、米国は建物全体に通した配管で冷暖房の空気を送る「ダクト方式」が主流。米国でエアコンは日本にように家電量販店で買うものではなく、住宅設備の一つとして住む前に設置済みのものだ。このため、住宅設備会社とのネットワークがなければ、普及は困難。ダイキンはダクト方式も手がけており、住設会社とのネットワークを持つグッドマンなら米国市場の本格攻略も可能になるとの読みが、今回の買収劇の背景にある。

   ただ、年間売上高が1600億円程度のグッドマンに2900億円を出すのは高すぎるとの反応も市場にある。思惑通りに米市場攻略で成果を出せるか、ダイキンの真価が問われる。

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