2024年 4月 30日 (火)

ホンダが往年の名車を復刻? 新型「N-ONE」は「N360」の再来になるか

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   ホンダがヒット作「N BOX(エヌボックス)」「N BOX+(エヌボックスプラス)」に次ぐ新型軽自動車「N」シリーズの第3弾として、「N-ONE(エヌワン)」を発売し、反響を呼んでいる。N-ONEは、ホンダの往年の名車「N360」をモチーフにしたスタイリングが最大の特徴だ。

   当時を知るドライバーにとっては、かつてのN360のイメージを忠実に再現したフロントマスクに、まず驚くだろう。果たしてN-ONEはスタイリングだけでなく、かつてのN360ほどの革新性をもったクルマなのだろうか。

大ヒット作を思い起こさせる

   往年の名車を現代の最新技術で復刻させ、ヒットした先例としては、フィアット500が記憶に新しい。フィアット500は1957年にデビューした2代目(チンクェチェント)が人気で、1977年に生産終了したが、2007年に3代目となる現行モデルが登場した。

   ホンダにとって、N360のリバイバルといえるN-ONEは、特別の意味をもつに違いない。1967年にデビューしたN360は、2輪車メーカーから本格4輪車メーカーにステップアップしようとしていたホンダが、その技術力と商品企画力で初めて勝ち取ったヒット作なのだ。当時、軽乗用車の王者として長く君臨していたスバル360を凌駕し、軽のトップセラーとして世代交代を図った。

   N360はホンダらしく革新的な技術を満載していた。当時の軽では珍しかった4サイクル2気筒OHCエンジンをフロントに横置きするFF(フロントエンジン・フロントドライブ=前輪駆動)車で、室内は広く、標準仕様は31馬力、スポーツモデル(Tシリーズ)は36馬力の高出力を誇った。

   当時、日本でFF車を量産できる技術力のあるメーカーはスバルとホンダしかなかった。英国ミニのレイアウトに習ったエンジン横置きのFF車は、21世紀の今もクルマのレイアウトとしてスタンダードになっている。日本でこの技術を最初に確立したのはホンダであり、後のシビックの大ヒットへと続く。

軽のプレミアムカーめざす

   これらの歴史的経緯を踏まえて、一連のNシリーズを眺めてみよう。昨年末に登場したN BOXは、ホンダがフィット以来、得意とする「センタータンクレイアウト」を採用。ガソリンタンクを通常のリアシート下ではなく、フロントシート下に収めることで、広大なスペースと車両の安定性を確保した。N BOXはライバルのスズキワゴンRなどを抜き、軽の販売台数で今年4月から5カ月連続でトップとなるなど、久々のヒット作となった。

   N-ONEもセンタータンクレイアウトを採用し、ホンダのいう「M・M(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想=人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小にという設計」を踏襲している。だが、一見してわかるように、N-ONEは今日の軽としてロングノーズで、N BOXやライバルと比べると多少のスペースユーティリティーは敢えて犠牲にしている。

   その分、N-ONEはホンダらしくDOHCターボエンジンを全グレードに設定するなど、走りを重視していることがわかる。FFと4WDも選択できる。ホンダは「軽量と高剛性を両立したボディと専用サスペンションの採用で、高速道路でも安定した走行性能と優れた静粛性、低燃費を実現した」と説明。「クラストップレベルの高出力、高トルクで、1.3リッタークラス並みの走りを実現した」という。

   ただし、JC08モードの燃費は、ノーマルエンジンでリッター当たり27.0キロ。モデルチェンジしたばかりの新型ワゴンRの28.8キロには及ばない。ホンダはVSA(車両挙動安定化制御システム)を全グレードに標準装備。側面衝突時に頭部への衝撃を緩和するサイドカーテンエアバッグシステムを設定するなど、安全性能を強化しているのも特徴だ。

   総じて、N-ONEは多少のスペースや燃費は犠牲にしても、走りや安全装備でライバルよりも上質な「軽のプレミアムカー」を目指していることがわかる。でも、残念なから、かつてのN360ほどホンダらしい革新性を感じられないと嘆くのは、オールドファンの無い物ねだりだろうか。

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