2024年 5月 5日 (日)

いすゞとGMが再び関係強化 「別れたはず」なのに、どうなってるの?

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   いすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)は2013年1月10日、「ピックアップトラック」と呼ばれるタイプのクルマを共同開発する、と発表した。両社は2006年、GMの経営が傾いたことから、35年間にわたった資本提携を解消したが、コスト削減などを狙って再び関係強化に動く。ただ、それぞれの思惑は微妙に異なり、「再度の資本提携」までの道のりは遠い、との見方が多い。

共同開発でコスト削減めざす

   ピックアップトラックは後部に荷台を持ち、乗用車とトラックの機能を一つにしたようなクルマ。道が狭い日本ではほとんど普及していないが、北米や南米、東南アジアやアフリカなどで人気がある。乗車席(キャビン)部分は5人程度収容できるタイプもあり、自営業者や農家のほか、一般家庭で普通の乗用車のような使われ方をすることも多い。

   GMは米国などでピックアップのシェアが高く、世界最大手。ただ、今後、世界的に環境規制が強化されるなか、東南アジアなどの新興国で需要を取り込むには、ピックアップでも実績を持ついすゞの技術を活用することが有意義と判断したようだ。共同開発でコスト削減できることも大きい。

   GMは2009年に経営破綻したものの、大胆なリストラに踏み切り、米政府の支援もあって再建が進んだ。得意分野のピックアップをテコに世界でさらなる成長を図るために、かつて傘下に置いた日本の有力メーカー、いすゞともう一度タッグを組みたいと考え、再度の資本提携も視野に入れている模様だ。

簡単には資本再提携に踏み切れない事情がある

   いすゞにとってピックアップは東南アジアの主力事業、稼ぎ頭とも言え、今後の成長も期待できる分野だ。ただ、東南アジアではトヨタ自動車や日産自動車といった日本勢のほか、中国勢など新興勢力も無視できない存在となっており、今後は競争が激化する見込み。ピックアップの「本家」であるGMと共同開発することで、コスト削減しノウハウを共有することは大きなメリットがある。生産や販売面での提携協議が進めば、コスト削減のメリットはより拡大する。

   ただ、資本提携まで進むかどうかをめぐってはGMといすゞに温度差がある。

   復活を果たしたGMは、2012年の世界新車販売台数でもトヨタと世界一を競り合ったまぎれもないトップメーカー。成長を持続するため、いすゞを取り込みたい意欲は強い。

   一方のいすゞは現状、トヨタから5.9%の出資を受け入れており、トヨタ傘下の日野自動車との提携強化を目指す話も消えたわけではない。トヨタ内には「いすゞへの出資は前社長時代の話」と、いすゞに冷ややかな視線を向ける向きもあるが、かといって資本提携解消までしないのは、「GMへの牽制」などさまざまな思惑があると見られる。

   こうした中、いすゞとしてはトヨタへの仁義もあり、簡単にはGMと資本再提携に踏み切れない事情があり、「業務提携でとどまり、いいとこどりするのが居心地がよい」と判断しているようだ。

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