2024年 4月 19日 (金)

米アカデミー賞に内外から「政治ショー」批判 大統領夫人登場、作品賞は「CIA」主人公

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「ハリウッドでは政治が芸術より優位だと示した」

   そのCIAは、今回のアカデミー賞で「存在感」を示している。作品賞の「アルゴ」だけでなく、候補作品として挙げられた「ゼロ・ダーク・サーティ」では、制作にあたって全面協力したというのだ。

   この映画は、国際テロ組織アルカイダを指揮するウサマ・ビンラディン容疑者の殺害計画にかかわったCIA女性分析官を中心にストーリーが展開する。話題作だったが、主要部門での受賞は逃した。英ガーディアン紙電子版は2月25日、当初映画評論家がこぞって「アカデミー賞レースで最有力」と絶賛していたが、米側によるとされる拷問シーンが当局から「事実に反するのではないか」と反論されるなど、途中から賛否が分かれてきた点を紹介。戦時取材で記者が軍と同行し、軍寄りになりかねないとして批判のある「エンベデッド・ジャーナリズム」と同じように、映画の制作手法が「CIAべったり」だと断じた批評家もいたという。

   主要部門から漏れると、「結局手にしたのは『音響編集賞』」「授賞式でこの作品に今まで以上に注目したのは、米議会だった」とメディアの報じ方は冷たかった。

   作品賞の「アルゴ」にも逆風が吹き付けた。この映画は1979年、革命が起きたイランでの米大使館人質事件が題材となっている。CIA関係者による人質救出がテーマだが、イラン国営放送の日本語サイトを見ると「(映画内容は)歴史上全くの虚偽」と猛反発。「ハリウッドにおいて政治が芸術よりも優位な立場にあることを示した」「内容が反イラン的」と非難した。

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