2024年 4月 29日 (月)

「原発回帰」安倍政権 再稼働の行方(4)
10~20年で考えると原発に経済合理性ない
システム技術研究所・槌屋治紀所長にエネルギーの未来を聞く

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大量生産によるスケールメリットで、コストは下がる

―― 電気事業連合会のまとめによると、11年度の電源別発電電力量構成に占める「地熱及び新エネルギー」の割合は、わずか1.4%です。これを、どのようにして引き上げるのでしょうか。

槌屋 それには色々な考え方があります。世界自然保護基金(WWF)インターナショナルは2050年までに、世界の全てのエネルギーを再生可能エネルギーで代替することを提唱しています。私はWWFジャパンの依頼を受けて、日本のシナリオを作りました。鉄鋼業の扱いなどいくつか難しいところがありますが、日本でも100%の供給可能性があります。スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン教授は、2030年までに100%再生可能エネルギーで代替可能だという研究を発表しています。このような研究は増えてきています。私は80年代に、人類が食料を狩猟していた状態から、地上の耕作に移ったのと同じようなことがエネルギーでも起こることを「エネルギー耕作型文明」と呼んで、そのような著作を発表しました。長期的には、そうならざるを得ません。地下にあるものを掘ってくるというのはいつか枯渇します。

―― そうは言っても、いわゆる新エネルギーは火力や原子力に比べてコスト高だと指摘する声もあります。

槌屋 大量生産によるスケールメリットで、コストは下がっていきます。地域によっては、太陽光の発電コストは電力会社から電気を買うのと同様の水準に近づいています。過去のデータでは、太陽光は学習曲線に乗って、累積生産量が2倍になるとコストが2割下がっています。一時的に電力コストが上昇するのは確かですが、今後化石燃料の価格は上がっていくので、今のうちから取り組みを進めておくのが賢明です。
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