2024年 4月 26日 (金)

「原発回帰」安倍政権 再稼働の行方(6)
核燃料サイクルは問題だらけ 再処理コスト「19兆円」で収まらない

発生する期間の設定が実に360年間にも渡る

CNIC核燃料サイクル問題担当、澤井正子氏
CNIC核燃料サイクル問題担当、澤井正子氏

   驚く点はほかにもある。再処理費用が発生する期間の設定が、2005年から2369年までと、実に360年間にも渡っていると澤井氏は言う。非現実的とも思える想定となったのは、未来に先送りしつつ「広く薄く」徴収することにして、現役世代から「負担が重い」との批判をかわすためだろうか。

   既に電気料金に反映されている再処理コストだが、利用者が毎月受け取る明細を見ても、具体的な額は明記されていない。金額的には不満が上がるほど大きいわけではなさそうで、あまり実感がわかないまま支払っている可能性は高い。もし「360年間」ではなく、再処理工場の操業可能期間としている40年間で「19兆円」を完済するとなれば、今とは比べ物にならないほど負担が増大するはずだ。

   そのうえ澤井氏は、19兆円では到底収まらない公算が高いと考える。電事連が算出した2004年時点で含まれていなかった「第2再処理工場」をはじめ、当初は想定外だったコストが発生する恐れがあるのだ。2005年からスタート予定だった再処理事業もいまだ試験段階で、MOX燃料工場に至っては完成していない。核燃料サイクルの実施が大幅に遅れている半面、関西電力大飯原発3、4号機が2012年7月に再稼働したため、使用済み核燃料は再び出始めている。本格稼働が遅れるなか、当初描いた青写真が既に崩れている。

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