2024年 5月 3日 (金)

「ブラジャー着用で健康被害」の仏調査 医学的根拠には乏しい?

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   フランスで、ブラジャーを着用し続けると胸筋を弱らせるなど健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとの調査結果が発表された。過去には「ブラジャーが乳がんを誘発」といった報告もあった。

   いずれも医学的根拠に乏しいようだが、女性にとっては気になる話だ。

「リンパ節が締め付けられて胸の細胞に害を及ぼす」との説

「医学、生理学、また解剖学的な見地から、ブラジャーの着用は胸に何の効果もない」

   こんな発表をしたのは、フランス東部・ブザンソン大学病院のジャン・ドニ・ルイヨン教授。ロイター通信や米CBSニュース電子版など複数の海外メディアによると、ルイヨン教授が18~35歳の女性330人を対象に15年間実施した調査に基づき、ブラジャーの着用で胸を支える細胞の成長が阻害されて筋力が徐々に低下してしまうことが分かったという。

   一方、ブラジャーを使わなかった被験者は、胸筋の発育が着用者に比べて数値面で好結果が出たようだ。調査に協力した28歳の女性は、「ブラジャーを2年間つけなかったら呼吸が楽になり、背筋が伸びて背中の痛みが少なくなった」とその「効果」を語っている。

   ただしルイヨン教授は「すべての女性がブラジャーを着けない方がいい、と言い切れるわけではない」とも話している。調査対象の年齢が限定的なのも理由のひとつで、この結果だけで「ブラ不要論」を主張するのは難しそうだと教授本人も認めている。

   ブラジャーと健康の関連性については、これまでも議論に上ることがあった。中でも1995年に出版された「Dressed to Kill」という書籍が知られている。「医療人類学者」の夫妻がブラジャーを着用し続けることによる乳がん発病の危険性を指摘した内容で、ブラジャーでリンパ節が締め付けられて胸の細胞に害を及ぼし、最終的に乳がんに至る恐れがあるのだという。

   だがこの説を明確に否定する専門家は多い。医学博士で乳がん関連の情報を発信するウェブサイト「Breastcancer.org」の創設者マリッサ・ワイス医師は、「科学的な根拠が示されていない」と明言する。ワイス医師によると、これまでにブラジャーが乳がんの原因になり得るという調査結果はわずか1例、つまり「Dressed to Kill」のものしか発表されておらず、がん発症のリスクにブラジャー着用の有無は関係ないと、「Breastcancer.org」の中で説明している。

サイズが合わないと胸の加齢が進みやすい

   下着メーカーは、海外調査結果にあるブラジャーと「胸筋の細胞発達阻害」や「乳がんリスク」との関連をどうとらえているだろうか。業界大手のワコールに電話取材すると、広報担当者は「医学的見地からブラジャーが体にどう影響するか、という点までは詳しく把握しておりません」と回答した。ただ同社の人間科学研究所では、40年以上にわたってブラジャーを利用する女性の体を計測し、科学的な知見を製品に生かしてきたという。

   その結果、自分に合ったサイズのブラジャーを使わないと胸の加齢が進みやすいことが分かったそうだ。加齢により胸の形が変化する順序は誰でも同じで、いったん変化するともとには戻らない。体型変化の進行度は人それぞれだが、サイズに合わないブラジャーを着用し続けると「胸を支えるじん帯が伸びて、バストが下がりやすくなる」というわけだ。

   ブラジャーは一般的に、起床から就寝までの時間帯に着用するのを前提につくられていると担当者は説明する。24時間着用し続けることで健康を害するかとどうかは医学的に立証されていないが、「どうしても睡眠中に着用したいという人のために、専用のブラジャーも開発しています」という。着用時の締め付けが体に影響しないかについては、「やはりサイズが合っているかを踏まえたうえで選んでほしい」と話した。

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