2024年 4月 30日 (火)

円安で燃油価格が上昇 イカ釣り漁船が「抗議」の一斉休業

   「アベノミクス」による急速な円安がもたらした原材料の輸入価格の上昇で、企業や家計の負担が増している。

   2013年4月に入り、電気・ガスの料金が値上げ。小麦粉や食用油なども上がり、さらにはスーパーなどで売られる鮮魚価格も上がる可能性が出てきた。円安の影響が食卓にも波及してきた。

「国の政策による影響は、政策で支援をお願いしたい」

   急速な円安による燃油価格の高騰に「抗議」するため、全国漁業協同組合連合会(全漁連)に所属するイカ釣り漁船約4000隻が2013年4月26日、27日の2日間に一斉に休漁する。

   一斉休漁は2008年6月以来約5年ぶり。当時は原油価格の上昇が原因だったが、今回は原油価格の高止まりに加えて、アベノミクスによる円安で輸入コストも上昇した。全漁連は「国の政策による影響は、政策で支援をお願いしたい」と、値上がり分の補助を政府に求めている。

   イカ釣り漁は夜間に照明を使うため、操業コストの約3割を燃料費が占める。全漁連によると、漁業用の燃料価格は12年10月に1キロリットルあたり約8万円だったものが、この半年で1万2000円以上値上がり。このままだと、年間で1隻あたり77万円の赤字になるという。

   イカ釣り漁に限らず、操業コストの上昇は本来であれば鮮魚価格に転嫁せざるを得ない。とはいえ、魚の値段は市場(セリ)で決まる。入荷量(水揚げ高)や品質、ブランド力などの要素は価格に反映されるが、操業コストは反映されにくいという事情がある。

   一斉休業で漁師の実情を理解してもらう狙いがあるが、08年のときは一斉休業によって東京・築地の中央卸売市場への鮮魚の入荷量が一時的に減少。スーパーなどの鮮魚の小売価格が上昇し、家庭にも影響が及んだ。

   水産庁は「現在は燃料コストの上昇を緩和できるよう、セーフティネットは用意(予算措置)していて、基本的には申請してもらえれば支援はできます」と話している。

3月の食品スーパー売上げ、13か月連続の前年割れ

   円安に伴う輸入コストの上昇による値上げは広がっている。4月から、全国の電力10社と都市ガス大手4社が値上げした。全14社が一斉に値上げするのは2012年8月以来で、電力各社は3月に比べて標準家庭で24~131円、都市ガス4社は72~104円値上げした。一部は5月、6月と立て続けに値上げすることを決めている。

   国が買い入れた輸入小麦を製粉会社などに売り渡す価格も、4月から平均で9.7%引き上げた。製粉大手の日清製粉や日本製粉はこれを受けて、6月20日出荷分から業務用小麦粉を値上げする。今後、パンや麺類などの小麦を使う食品や外食チェーンの値段に跳ね返りそう。また、日清オイリオグループとJ‐オイルミルズも4月から、家庭用食用油を1キログラムあたり30円以上値上げしている。

   全国の食品スーパーの売上高は3月も減少。これで13か月連続の前年割れだ。一般家庭では給与所得が伸びないうえ、足元の円安をきっかけとする相次ぐ値上げが重しになっている。

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