2024年 5月 3日 (金)

亀田大毅「負けても王座防衛」のすったもんだ ルール会議での「言葉の壁」で混乱か

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   ボクシングのタイトル戦で、何とも不可解な裁定が下った。国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフライ級王者の亀田大毅選手が、判定で敗れたにもかかわらず王座を守った形となったのだ。

   これだけでも不思議だが、もともとは「負けたら陥落」と発表されており謎は深まる。IBF側は「最初からそのルールだった」と主張するが、試合終了まではファンはもちろん、中継したテレビ局すら知らなかった。

試合直後のリングで「タイトル保持」と英語のアナウンス

「不可解裁定」をスポーツ紙が報じた
「不可解裁定」をスポーツ紙が報じた
「大毅、陥落」

   判定が告げられると、試合を中継していたTBSのアナウンサーはこう絶叫した。2013年12月3日に行われた王座統一戦で、IBF王者の大毅選手が世界ボクシング協会(WBA)スーパーフライ級タイトルを「体重オーバー」ではく奪されたリボリオ・ソリス選手に敗れたのだ。勝利を確信して掲げた右手は行き場を失い、目を泳がせ茫然とたたずむ大毅選手。

   場内アナウンスは続く。リング上で両陣営が残ったまま、リングアナは英語で採点結果とソリス選手の判定勝ちを宣言した後、こう告げた。

「チャンピオンはIBFタイトル保有を続ける」

   敗者の大毅選手が王座にとどまるということだ。だが中継ではこの点に触れられないまま終了した。視聴者だけでなく放送局側でさえ、事前に発表されていた通り大毅選手が敗戦によりベルトを失ったと解釈していたのだろう。

   IBF幹部は試合後に緊急会見を開き、「挑戦者が体重を超過していた場合、王者は勝敗に関係なくタイトルを失わない」というIBFの規約を説明した。英文で書かれた規約書には、確かにそのような記述がある。試合終了直後の英語のアナウンスと同じ内容だ。ところが前日、試合を主管した日本ボクシングコミッション(JBC)が「負ければIBF王座は空位になる」と説明していたから混乱が生じた。IBF幹部は「そんな発言をした覚えはないが、言ったとしたら私の間違いだった」と弁解した。要するに、最初から大毅選手は勝っても負けてもIBFタイトルが保障されていたのだ。国内で行われた世界タイトルマッチで、同様の例はない。

   規約内容は、亀田陣営も知っていたようだ。亀田ジムの嶋聡マネジャーは複数のメディアに、ルール会議で確認していたと証言している。一方でJBC側は「聞いていない」という。どんな行き違いがあったのか。

「王座は移動しないのは常識的なルール」

   2013年12月3日付のサンケイスポーツによると、試合前日の軽量でソリス選手が失格となったため、IBFは大毅選手が負けた場合は王座が空位になると説明していたが、その後のルール会議で「負けても陥落せず」のIBFルールをWBA側と確認し、亀田・ソリス両陣営に伝えたのだという。スポーツ報知は、会議に参加した嶋マネジャー談として「英語とスペイン語が飛び交う会議だった…(最終確認は)夜になってからだった」と報じている。現場でもドタバタ劇が演じられていたようだ。

   さらに12月5日付の東京スポーツは、この会議にJBCも同席していたが、「負けても防衛」のルールは把握していなかったと伝え、背景に「言葉の壁があったようだ」としている。

   土壇場まで関係者を振り回したIBFの不手際は責められるべきだろう。ただ、会議に出席していながら事態を把握していなかったとしたら、JBC側も「聞いていなかった」ではすまされない。また亀田陣営も二転三転したルール上の取り決めを、主管者であるJBCと最終確認しておくべきだったとの指摘もある。

   JBCは長年、WBAと世界ボクシング評議会(WBC)の2団体にのみ加盟し、プロボクサーの世界戦出場を認めてきた。新たにIBFに加盟したのは2013年4月1日とごく最近だ。両団体の間で相互関係が構築しきれていなかったのかもしれない。

   「負けても防衛」が試合前から決まっているなら、大毅選手のモチベーションに多少影響した可能性もある。しかも体重制限の枠が取り払われた相手のソリス選手は、当日の計量もパスするなどやりたい放題だった。大毅選手の兄の亀田興毅選手は12月5日付のブログで、前日1.4キロオーバーだった相手に触れ「1階級の体重差とほぼ同じ」と説明した。しかも試合当日18時の時点では2.4キロ超だったという。大毅選手に不利にはたらいたことは想像に難くない。

   ブログでは、今回のように王者が計量をクリアして挑戦者が失敗した場合「王座は移動しないのは常識的なルール」と指摘。大毅選手はIBFルールにのっとってベルトを保持したのに「なんで返上せなあかんのかな」と疑問を呈した。

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