2024年 4月 26日 (金)

韓国が「離於島」南方に防空識別圏拡大 「静観」中国が一転、「遺憾」に手のひら返し

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   中国が突然設定した防空識別圏(ADIZ)で周辺諸国との関係がぎくしゃくする中、今度は韓国が防衛識別圏を拡大することを発表した。日本は、この動きを全く問題視していないが、中国の中国側の態度が煮え切らない。

   一度は静観する構えを見せたが、3日後には一転「遺憾」を表明したのだ。どのような背景があるのか。

日本は「地域の警戒監視に対して積極的な関係築ける」と問題視せず

   韓国国防省の2013年12月8日の発表によると、韓国の防空識別圏は南方に拡大する。これまでは済州道(チェジュド)南方までだったものが、東シナ海の暗礁「離於島」(イオド、中国名・蘇岩礁)南方約250キロまで広がる。新たな防衛識別圏は12月15日に発効する。

   韓国政府は発表前に日本や中国など周辺国に事前説明を行ってきたが、日中の反応には温度差がある。日本は一貫して問題ないとの立場だ。小野寺五典防衛相は12月10日朝の会見で、日韓のホットラインで1日に何十回も情報交換しているとして、

「そういう中で一層連絡を密にして情報交換することによって、むしろ両国がよりこの地域の警戒監視に対して積極的な関係を築けるのではないかと思っております」

と、むしろ肯定的な評価をするほどだ。

最初は「国際法と国際慣例に従うべき」としか言っていなかった

   中国は少々様子が違う。中国外務省の洪磊(ホン・レイ)報道官は、識別圏の拡大が正式に発表される前の12月6日の会見では、

「防空識別圏は領空ではない。領空の外に(飛行機の)識別と早期警戒のために国家が設けるものだ。海や空の管轄権とは何の関係もない。韓国の防空識別圏の拡大は、国際法と国際慣例に従うべきだ。中国は平等と相互尊重の原則に基づいて韓国とコミュニケーションをとる構えだ」

と静観する構えだった。だが、発表後の12月9日の会見では一転、

「中国は韓国側と何度も東シナ海の防空識別圏設定について話し合ってきた。韓国側は防空識別圏の拡大を通知してきた。中国は韓国の決定に遺憾の意を表明する。中国外務省と国防省は、それぞれに韓国に対して中国側の立場を明確にし、関連する問題に慎重に、適切に対応するように求めてきた。中国は引き続き、平等と相互尊重の原則に基づいて韓国とコミュニケーションを取っていく」

と発言。日本に向けるような「強烈な不満」とは距離があるものの、「遺憾」と、ネガディブは反応を示した。

   この背景には、中国が前出の離於島の扱いに苦慮しているとの見方がある。離於島は干潮時にも水面下に沈んでいるため、中韓ともに領土として主張することはできないが、韓国がこの岩礁を基礎にして海洋調査施設を建設したため、中国が抗議したという経緯がある。

中国メディアが周辺海域警備強化に警戒感

   韓国の防衛識別圏の設定には、中国メディアも警戒感を示している。例えば中国共産党系の環球時報は2013年12月10日、韓国メディアを引用する形で、周辺海域の警備が強化されることを報じている。例えば空軍は主力戦闘機のF-15Kを派遣し、海軍は週2~3回だった哨戒機P-3Cによる偵察を毎日に増やす。海洋警察もヘリコプターや哨戒機CN-235を派遣する、といった具合だ。このような状況で反応を「静観」にとどめておくのは難しいとの見方だ。

   ただし、中国が離於島をめぐって事を荒立てたくなくない様子もうかがえる。12月9日の会見では、

「中国と韓国の間には、この件をめぐって領土問題は存在しないという合意がある。蘇岩礁(韓国名・離於島)は、中国と韓国の排他的経済水域が重なる水域にある。この問題は、海の境界に関する交渉を通じてでしか解決できない」

と、韓国を攻撃することを避けた。

   この件は、日本にとっても多少の関係がありそうだ。京郷新聞によると、離於島周辺の警備強化にともなって、F-15Kの一部を東部の大邱(テグ)基地から西部の光州(クワンジュ)基地に移す必要がでるという主張も出ている。だが、そうすると竹島(韓国名・独島)上空の警備が手薄になる。離於島と竹島のどちらに重点を置くか、韓国軍は微妙な判断を迫られているという訳だ。

   竹島は、古くから韓国の防衛識別圏の中に入っている。日本は竹島上空を防衛識別圏に指定していないが、そうすべきだとの議論も出ている。だが、金寛鎮(キム・グァンジン)国防相は12月5日の国会の国防委員会で、この点について「そうならないような外交的努力が必要」とけん制した。

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