2024年 4月 28日 (日)

「スマホ中毒」が首の痛み引き起こす 「ストレートネック」患者急増中

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   スマートフォン(スマホ)の普及で手軽にインターネットに接続できるようになり、気づけば画面を見ているという人はいるだろう。だが、長時間の使用が体の部位に影響を及ぼす可能性が指摘されている。

   代表的なのが首の疾患。「ストレートネック」と呼ばれる症状になり、首や頭の痛み、ひどい肩こりを引き起こす原因になるという。

通勤時間や食事中までスマホを見て前かがみ姿勢

画面の見過ぎで首への負担が増えている
画面の見過ぎで首への負担が増えている

   首の骨(頸椎)は本来、やや前に湾曲している。これが直線状になる状態がストレートネックだ。原因のひとつとして、姿勢の悪さが挙げられる。前かがみになってうつむくような格好を長く続けるのがよくない。

   カイロプラクティックのクリニックを開業する木津直昭氏のサイトには、これまでに治療を受けた患者の症状が紹介されている。43歳の主婦が頭痛と首や肩のこりが強くなったとして診療に訪れた。寝ていて目を覚ますことがあるほどだが、思い当たる理由がなかったそうだ。

   治療の際この女性に「最近、スマートフォンをよく使っていないですか」とたずねると、1か月ほど前から寝る前にソファーに座って1時間程度使うことが多いとの回答だった。木津氏は「スマートフォンを使うと知らず知らず(のうちに)首が前傾しストレートネックが増強され、肩が上がってきます」と説明する。

   頭の重みは5キロほどあり、本来は頸椎の湾曲によって首にかかる負荷が緩和される。ストレートネックになると頭部が正常な状態より前に突き出した姿勢になり、頸椎だけでは支えられなくなって首の筋肉への負担が増す。長い間この状態が続けば、首や肩のこりを引き起こすというわけだ。

   これまではパソコンが、首や肩に負担をかける「犯人」と言われてきた。実際にデスクワークで長時間、パソコンの前に座ったままというのはストレートネックにつながる姿勢だ。スマホの登場で、通勤電車や食事中といったこれまでパソコンから離れていた時間さえも前かがみになって画面をのぞきこむ習慣が増えてしまった。

   医療専門紙の記者に聞くと、ストレートネックや、それが引き金となって起きる頸椎ヘルニアは、加齢と生活習慣が影響するケースが多いという。スマホが世に登場して数年しかたっておらず、その使用がストレートネックの直接の原因だとする学術的な証明は今のところないそうだが、毎日何時間もスマホの画面を見ていること自体が生活習慣のひとつとなっている現状では、スマホも新たな要因として加わったと言えそうだ。

首のこりもスマホ普及率も働き盛り世代ほど高い

   「AERA」10月21日号では、首のこりや重く感じる症状に悩んでいる人が増えているとの記事を掲載した。医師のコメントとして、こうした症状は20~40代の働き盛りが多く、特に女性は男性の2倍程度だと説明した。女性は首が細いため疲労が蓄積しやすいためだ。複数の医師は原因として「携帯とパソコンです」と口をそろえたという。

   調査会社IDCジャパンが2013年6月に実施した調査によると、回答者1万5493人のうちスマホの所有率は全体で49.8%と、ほぼ2人に1人にまで普及していることが分かった。10~20歳台は76.3%と世代間で最も高く、30歳台、40歳台も5~6割に達した。働き盛りの年代ほどスマホを手にしている。仕事中も休憩時間も移動中も画面を見つめ、気づけばベッドの中にまで持ち込んでいるという人は少なくないかもしれない。これでは首にますます負担がかかる。

   スマホ普及率が高い韓国でも、同じような問題が起きている。政府機関の国民健康保険公団が2013年7月に発表した調査結果では、20代を中心に頸椎ヘルニアが急増していることが分かった。韓国紙「中央日報」によると、患者数は2007年の57万3912人から2011年には78万4131人に達した。人口10万人当たりの年平均増加率は、20代が7.6%と最も高かったという。主な原因はスマホの普及で、同紙の取材に神経外科医は、若い世代ほどスマホに多くの時間を費やしており、20代患者の増加とスマホに関連性があると推測している。

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