2024年 4月 26日 (金)

マツダの自動ブレーキ試乗会事故、「車両に異常なし」 検査結果発表するも「事故原因」まだ分からない

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   マツダは埼玉県深谷市で2013年11月に発生した自動ブレーキの体験試乗会での衝突事故について、使用車両に故障や異常は確認されなかったと年末に発表した。

   事故は深谷市の自動車販売会社駐車場で行われたスポーツ多目的車(SUV)の「CX-5」の自動ブレーキの体験試乗会で発生した。

近赤外線レーザーを発射して前方車両を検知

いまなお事故原因は不明(画像はマツダ「CX-5」公式サイト)
いまなお事故原因は不明(画像はマツダ「CX-5」公式サイト)

   発車したCX-5は、約7メートル先のウレタン製マット直前で自動ブレーキによって停止するはずだった。それが止まらずに、さらに約6メートル先のフェンスに衝突して停止。運転していた客の男性が頸椎捻挫の軽傷、同乗のマツダ系販売店の男性が右腕を骨折する重傷を負った。この事故前に数組が試乗した際には停止していたという。

   マツダは事故後に埼玉県警の要請を受け、自動ブレーキの「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」や故障診断システムに関するデータを提出して捜査協力。車体検査なども行ったが、事故車両に故障や異常は見つからなかったという。

   このCX-5に搭載された自動ブレーキは、近赤外線レーザーを発射して前方車両を検知し、ドライバーの操作に応じてブレーキをサポートするというもの。他社も同様のシステムを採用しており、特殊な技術ではない。検知可能距離は約6メートルで、時速4~30キロで作動するが、アクセルが一定以上踏み込まれた状態や30キロ超では機能しないという。

   今回のマツダの発表では、直接の事故原因についての説明はない。事故時に時速30キロを超えていたとの情報があるほか、試乗コースの設定が適切でなかった可能性も指摘され、県警が捜査を進めている。

自動ブレーキに過大な期待は禁物

   この事故が社会に与えた影響は小さくない。事故直後から自動ブレーキの安全性を不安・疑問視する声が相次いでいるのだ。

   自動車各社が車両搭載を進める中、事故原因が自動ブレーキにあったとなれば、マツダだけの問題にとどまらず、システムそのものの信頼が揺らぐ可能性もあった。将来を見据えて開発が進む自動運転にとっても重要な技術だけに、業界からは「車両が事故原因でなかったと分かり、マツダさんだけでなく、各社もほっと胸をなで下ろしている」との声も聞こえてくる。

   そもそも自動ブレーキは欧米メーカーが先行して開発が進み、ボルボが2009年に日本市場に初めて投入した。日本勢も富士重工業が2010年に先陣を切ると、トヨタ自動車やスズキなども相次いで導入している。

   ただ、自動ブレーキをめぐっては、トラブルも多く、トヨタと三菱自動車が昨年6月にリコールを国土交通省に届け出た。いずれもマツダの事故とは違って前方車両でなく、並走する車両などを検知し急ブレーキがかかる可能性があるというものだった。

   マツダは事故直後に「障害物の大きさや種類・距離、周囲の環境、車速、ドライバーの運転操作により正常に作動しない場合がある」と説明し、自動ブレーキはあくまで補助的機能だと強調した。過大な期待が広がりつつある中での事故。業界内では「事故が自動ブレーキへの過度な期待を改めさせるかもしれない」との声も出ている。

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