「量的金融緩和策の出口」をどうするのか 日銀政策決定会に見る「市場との対話」の難しさ
2014.02.11 11:00
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総裁記者会見を会合終了日に必ず開く、と決める
こうした中、10月の決定会合は量的緩和策の解除条件やその説明方法が議論になった。岩田一政副総裁は「最終ゴールの下限である物価上昇率1%に到達するまで緩和を続ける」とインフレターゲット(物価目標)を用いた条件を改めて提案。中原委員も「1~2%は日銀として望ましいと考えている物価上昇率であると明示すべき」と主張した。現在の黒田日銀の異次元緩和は「2%に到達するまで緩和を続ける」としているが、当時の日銀はまだそこまで踏み切れなかった。
半面、「物価だけの条件ではダメ」(須田美矢子審議委員)といった意見も出され、武藤敏郎副総裁は「3か月とか6か月とか具体的な数値を示すのは適切ではない」と述べた。結局、(1)数か月ならして安定的にゼロ%以上、(2)多くの委員がゼロ%を超える見通しを持ち、先行き再びマイナスにならない、(3)上記2条件を満たしても状況によっては解除しない――との3点を決めた。
これとは別に総裁の記者会見について、政策の説明をタイムリーに尽くすため、会合終了日に必ず開くことも決めた。それまでは会合翌々日に開いたり、会合があっても会見がない場合もあったのを見直した。ただ、会合即日会見については「現状維持の場合、政策変更がないことの弁護に回らざるを得ない」(須田氏)などの慎重意見もあった。