2018年 7月 19日 (木)

佐村河内氏騒動「聴き手にも問題ないか?」 朝日新聞サイトのテーマ設定が物議

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   「音楽以前に『感動の美談』をありがたがる聴き手の側にも問題はないだろうか?」。佐村河内守氏(50)の別人作曲問題を巡り、朝日新聞サイトの中で識者らの解説や論考を載せている「WEBRONZA」がこんなテーマを設定したところ、ネット上で疑問や反発の声が相次いでいる。

   佐村河内氏問題では、朝日新聞はすでに、過去の報道においてウソを見抜けなかったことを謝罪し、2本の記事を削除している。

「掲載した記事の趣旨などをまとめた」

   佐村河内氏の別の記事を書いた記者も紙面上で、「佐村河内氏と私たちは多くの人々を傷つけた」として、「今後は自分の筆へと向け、自戒の礎としたい」と反省の弁を述べていた。

   そうした動きとは別に、「WEBRONZA」では、佐村河内氏本人や報道側以外のところで問題提起を行った。

   「佐村河内守だけが悪いのか?」。2014年2月12日のWEBRONZAでは、こんなタイトルでテーマを設定し、2人の識者から寄稿してもらっている。

   テーマ設定の紹介文では、「彼は確かに悪い」としながらも、「『ヒロシマ』や『ハンディキャップ』を売りにする音楽業界」に加えて、前述のように聴き手の側についても疑問を投げかけているのだ。

   すると、2ちゃんねるでスレッドが次々に立つなど話題になり、「朝日新聞・・・おまえが言うな」「美談を紹介しまくってたマスコミが悪い」と反発する声が次々に上がった。「指摘していることも当たってる」という声は一部であるが、「詐欺師の被害者に騙される方も悪いって言ってるようなものだな」「何、聴き手側に責任転嫁してんだよ」などと批判の方が多いようだ。

   こうした異論についてどう考えるか、朝日新聞社の広報部に取材した。すると、WEBRONZAの紹介文について、「佐村河内守氏の問題についての意見を集めるページの前文で、掲載した記事(識者の寄稿)の趣旨などをまとめたものです」といった回答しか得られなかった。

記事では、聴き手に問題あるか分からず

   そこで、WEBRONZAに掲載された識者2人の記事について、聴き手の側の問題について触れていないか検証した。

   クラシックジャーナル編集長の中川右介さんは、記事の中で、クラシックファンの間では佐村河内氏の作曲とされた作品は話題にならず、そうでない人たちがテレビなどで知って感動していたのではないかと指摘した。それは、作品がベートーヴェンやロマン派を思わせる時代錯誤なものであり、このような曲を書ける作曲家は何百人もいるからだという。中川さん自身も佐村河内氏に対しては冷淡で、障害者を批判してはいけないという空気を読んで発言はほとんどしなかったとした。

   また、認知心理学者の下條信輔さんは、人々は楽曲そのものではなく、周辺のカバーストーリーに感動しており、その意味で本末転倒して見えたと記事に書いた。感動の美談がありがたがれた背景には、「日本ではウエットな同情と共感がモノを言う」からだと分析している。

   総じて、2人の記事では、聴き手の側について、問題があるともないとも、はっきりとは言っていないようだ。

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