2024年 5月 4日 (土)

消費増税を前に1円玉の製造、4年ぶり再開 増産するも、電子マネーの普及で1円玉の運命どうなる?

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   2014年4月に消費税率が5%から8%となり、1円硬貨(1円玉)の利用が見込まれることから、政府が2月3日、1円玉の製造を4年ぶりに再開した。

   1円玉と5円玉は電子マネーの普及などで需要が減ったため、財務省は市中に流通させる硬貨の製造をしばらくストップしていたが、消費税率の引き上げで1円単位の値上げが増え、「釣り銭需要が高まる」という。ちょっとした1円玉特需だが、電子マネーの普及で増税後も1円玉の需要はそれほど高まらないとの観測もある。

2014年度は1億6000万枚

100円ごとに3円増税
100円ごとに3円増税

   財務省の指示で1円玉の製造を再開したのは、独立行政法人造幣局の広島支局で、2010年以来、4年ぶり。この間、コレクターなどに販売する貨幣セットとして1円玉を製造することはあったが、市中に流通する1円玉の製造はストップしていた。

   1989年の消費税導入時(当初は税率3%)には、定価100円の商品が103円となったため、つり銭用に1円玉の需要が高まり、小売業者の間で深刻な1円玉不足が起きた。当事の大蔵省(現財務省)は大慌てで1円玉の増産に動いた。1997年に消費税率を5%に引き上げた時は、この教訓から1円玉の製造を増やしたので、大きな混乱はなかった。

   造幣局によると、1円玉のこれまでの製造枚数は441億枚で、5円玉の141億枚、10円玉の314億枚などと比べ、硬貨の中では最も多い。市場には十分すぎる量が流通しているため、財務省は新たな製造を控えていた。ところが4月の消費税率引き上げで、現行105円の商品が108円となり、再び1円玉の需要が高まると予想されるため、新たな製造に踏み切った。1円玉は2013年度中に約2500万枚、2014年度は1億6000万枚製造する。

10%に引き上げられると需要は減速

   しかし、電子マネーの普及で、1円玉の需要はそれほど高まらないとの見方もある。日銀によると、電子マネーの発行枚数は2012年6月に1億8217万枚、端末台数は111万台となった。1枚当たりの月間決済金額は平均1.2件、1100円程度だが、月に1回以上使うユーザーは平均5000円程度の利用があるという。

   民間の調査によると、国内の電子マネー主要6社の累計発行枚数は2億枚を超え、コンビニやスーパーなどの買い物で利用が増えている。電子マネーを利用する理由としては、(1)レジの決済が早くすむ、(2)ポイントやマイルが貯まる、(3)小銭やポイントカードなど財布の中身を少しでも減らしたい――といった声が多数を占めている。

   消費税率の8%引き上げに合わせ、電子マネーの普及を加速しようという動きもある。JR東日本と首都圏私鉄、都営・私鉄バスなどの運賃はSuicaやPASMOなど電子マネー利用の場合は1円単位にし、現金できっぷを買う場合などは10円単位とすることになった。「最近の首都圏の電子マネーの普及を踏まえ、消費税率の引き上げ分を正確に転嫁するため、1円単位運賃を導入する」という。首都圏では鎌倉の有名寺院の拝観や都心の神社の賽銭箱に電子マネーが利用できる時代となり、全国的にも普及が進むのは必至。さらに消費税率が2015年10月、予定通り10%に引き上げられると、電子マネーの利用が一段と加速するとみられ、1円玉の需要は減退するとの見方が強まっている。

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