2024年 5月 3日 (金)

高橋洋一の自民党ウォッチ
「年金」独法の積極運用に異議あり 「官の財テク」は誰も責任とらない

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なぜ国家公務員共済は積極運用しないのか

   筆者が担当していたのは、1990年代初めの頃で、まだ財テクブームが残っていたが、当時から、責任をとれない仕組みに疑問があった。

   1998年から米国プリンストン大にいたが、当時クリントン大統領が公的年金の株式運用構想をぶち上げていた。筆者は米国政府関係者から日本の事情をヒアリングされたが、そのときも、公的年金の株式運用は「Negative」といった。グリーンスパン連銀議長(当時)も否定的だったが、そのロジックが面白かった。

「政府は健康のためにたばこ会社に対して厳しい措置をしなければいけないが、そのときに公的年金でたばこ会社株をもっていたらどうするのか」

   結局、クリントンは提案を取り下げた。

   はっきり言えば、年金保険料として強制的に徴収して、国が国民に代わって財テクするくらいなら、その分保険料を安くして、財テクしたい人は自分でやればいい。

   それでも、国で財テクしたい厚労官僚は、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)等の例を持ち出してくる。それは、国ではなく州であり、しかも州民ではなく、州職員の年金だ。

   その例を持ち出すなら、サラリーマンの厚生年金の運用を行うGPIFではなく、公務員の年金の運用をする国家公務員共済で、積極運用すればいい。しかし、昔からであるが、国家公務員共済は積極運用しない。なぜ同じ公的年金なのに、民間サラリーマン年金と国家公務員年金で差があるのか。筆者が担当者だったときに、厚生官僚に聞いたことがある。そしたら「公務員で先にやるはずないでしょ」だった。そのときは冗談と思っていたが、やはり公務員は自分にはね返るような危ないことはしないのだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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