2024年 4月 20日 (土)

エアバスへの違約金最大700億円 スカイマークの経営に「深刻打撃」

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   国内航空会社3位のスカイマークが、超大型旅客機のエアバスA380型機の購入をめぐり、ピンチに陥っている。業績不振で購入資金のめどが立たなくなり、エアバス社から約700億円の違約金を求められる可能性もあるという。

   際立つのは両社の温度差で、スカイマークはエアバスとの交渉を粘り強く続けたい考えだが、エアバス側は「契約は終了した」と、にべもない。過去には機材調達で失敗して破綻した航空会社もあり、情勢は深刻だ。

エアバスは大手航空会社の傘下に入ることを要求?

スカイマークのA380は、すでに試験飛行に成功している(エアバス社提供)
スカイマークのA380は、すでに試験飛行に成功している(エアバス社提供)

   発端は2014年7月29日未明にブルームバーグが「エアバス、スカイマークのA380発注キャンセルで合意」と題して配信した記事。これを受けてスカイマーク、エアバスの両社はコメントを発表したが、両社の間には大きな隔たりがあった。最初に際立つ違いは、その長さだ。英語版で比べた場合、スカイマークの西久保慎一社長名で出された文書は323単語にのぼるのに対して、エアバスはその5分の1程度の65単語。内容も大きく異なっている。

   スカイマークの文書によると、エアバスは「スカイマークが大手航空会社の傘下に入ることを契約変更の条件の一部として要求」し、「それを拒否して A380 をキャンセルした場合には常識を逸脱した法外な違約金を提示」してきたという。それでもスカイマークの文書は「我々はエアバス社と根気よく協議し解決策を見出していく所存でございます」と、交渉継続を望む文言で締めくくられている。これに対して、エアバスの文書は

「スカイマークとの協議と、同社のA380に関する意思表明を受け、エアバスは契約上の権利に従い、スカイマークに対して、2011年に締結されたA380型機6機の購入申し込み契約が終了したことを通知した。エアバスは、すべての権利および権利侵害に対する救済方法を保持している」

と、あまりにもそっけないものだ。

   スカイマークの2014年3月期単独決算は、最終損益が前期37億円の黒字だったのに対して18億円の赤字を計上している。赤字に転落するのは5期ぶりで、格安航空会社(LCC)の台頭や円安による燃料費の高騰がその原因だ。

   スカイマークはA380を6機購入する契約を結んでおり、すでに前払い金として約265億円支払っているが、購入を断念した場合、前払い金は戻ってこないとみられる。これに加えて700億円規模の違約金を求められる可能性がある訳だ。

破たんした「レキオス」の飛行機は後にスカイマークで活躍

   西久保社長は7月29日に開いた会見で、エアバス側の意図を、

「昨年(14年3月期決算)は赤字になったが、この赤字の中でそれだけ(A380の購入資金を)調達できるのかが不透明だったところに、向こうは非常に不安感を持っていた」

と推測する。過去には、航空機を航空会社に提供する側の意向が航空会社の存続を左右したケースもある。有名なのが、02年に国土交通省から航空運送事業許可を受け、03年6月に羽田-那覇線の開設を目指していた「レキオス航空」だ。ボーイング767-300ER型機をリースで調達することになっていたが、資本金の準備が進まずにリース会社のGEキャピタル・アビエーション・サービス社が契約を破棄。その結果、レキオスは航空運送事業許可の申請を取り下げ、民事再生手続きを申請したものの棄却され、結局は破産手続きが行われることになった。皮肉なことに、レキオス航空が使用するはずだった飛行機はスカイマークにリースされ、同社機として09年まで活躍した。

   もちろん、16年にわたって運航を続けてきたスカイマークと、一度も営業飛行をしないまま破たんしたレキオスを単純比較することはできない。西久保社長も、

「かなり長期にわたっての弁済ということになるので、経営的にはさほど圧迫するものにはならないと考えている」

と話している。それでも、時価総額約200億円(7月30日終値ベース)のスカイマークにとって違約金700億円という額はあまりにも大きく、重大な局面にさしかかっていることは間違いない。

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