2024年 4月 29日 (月)

「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(5)
中国空軍はなぜ危険行為を仕掛けるのか 自衛隊機に異常接近繰り返す背景
元駐中国防衛駐在官・小原凡司氏に聞く

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これまで空軍は予算抑えられ、不満が高まっていた

―― パイロットは功名心を満たすために危険行為を行っているとのことですが、軍はなぜやめさせられないのでしょうか。空軍は士気が低いのでしょうか。

小原 元々、そのような土壌はあると思います。さらにそれを助長しているのが、これまで空軍は海軍と比べて予算面で抑えられていたということです。これに加えて、東シナ海では海軍ばかり目立っていたことに空軍は不満を持っていました。これを取り除くために、12年末、空軍司令員だった許其亮(キョ・キリョウ)上将を中央軍事委員会の副主席に抜擢しています。この人事に対して海軍からも不満は聞こえてこないので、元々海軍が人事以外で優遇されていたと理解すべきでしょう。さらに、許上将はリーダーシップが強い人で、「不満がたまっている空軍の中に強いリーダーシップを置いておくのは危険だ」という中央の判断があって、中央に取り込むことになったようです。

―― 具体的にはどんな不満を持っていたのでしょうか。

小原 装備面を見ると、海軍は空母をはじめ艦艇を大量に建造しており、大規模基地の建設も明らかになっています。海軍が相当大きな予算を使っていることが分かります。一方空軍はなかなか戦闘機の自主開発が進まない。輸入する機体の数も、空軍が期待するほどは確保できていない。その良いケースがJ-31というステルス戦闘機です。
   これまで、J20というステルス戦闘機が国家プロジェクトとして開発が進んでいることは明らかになっていました。ところが、J-31の開発は国営企業が行っており、国家プロジェクトではありませんでした。そこで、J-31は米高官が訪中している時にわざわざ試験飛行をしてみせた。中国では、J-31の開発チームがプレシャーをかけた相手は米政府ではなく中国政府だとの見方がもっぱらで、実際、後にJ-31は国家プロジェクトに格上げされました。それでも、J-31は予定されていた性能のエンジンの開発ができていないという情報もあり、まだまだ空軍には十分な資金が供給されていないとみられています。こういった点でも、まだまだ不満がくすぶっています。
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