2018年 12月 19日 (水)

マー君はなぜ今シーズン中に復帰したのか 高額年俸契約の裏に潜む条件とは...

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   ヒジ痛で戦列を離れていたヤンキースの田中将大が2か月半ぶりに復帰し、2014年9月22日のブルージェイズに先発、13勝目を挙げた。

   これで来シーズンのメドが立ち、本人も球団も胸をなで下ろした。

「ここぞ」での投球のうまさで健在ぶり示す

「ホッとしている。これで心配が軽減されたと思う」

   登板後の会見で田中は心中を語った。実際に試合のマウンドに上がり、打者に投げてみなければ状況はつかめない。そのテストに合格した、と言いたかったのだろう。

   投球内容は5回3分の1を投げ、5安打、4奪三振、1失点。安打数が多かったのは仕方がないが、最少失点に抑えたのはさすがだった。70球を投げたところで降板したのは、まさに投げられることを確認する最大の目標をクリアしたからだった。持てる球種をすべて投げ、不安材料の一つだったスプリットも無事に投げた。

「チームの勝利に貢献できたことがよかった」。

   この田中の言葉は、実践で投げる以上、個人のためではなくチームのため、との意味である。彼がチーム内で人間的にも信頼を得ていることがよく分かる。

   ブルージェイズの先頭打者と対し、初球が外角にすっぽ抜けたようなボールを投じたとき、大丈夫かな、と心配したが、あとは抑えが効いてストライクゾーンに投げるようになったので安心した。

   その1回、いきなり連打で無死一、三塁とピンチに立った。しかし、3番打者を併殺に打ち取り、1点を許したものの、「ここぞ」での投球のうまさは田中健在を示したといえる。

来年は新しいチーム作り、田中は投手陣の中心に

   翌日の試合前、田中はチームより早くグラウンドに姿を見せ、軽いキャッチボールを行った。従来通りのルーチンワークなのだが、気になるヒジへの異状はなく、次回の登板は27日に決まった。

   ジラルディ監督はほんとうに安心していた。

「故障前と変わらないピッチングを見せてくれた。さすがだ」。

   田中が故障者リストに入ったのは7月。診察を受け、懸念された手術は回避された。その後、治療プログラムに取り組んだ。キャッチボール再開となると、監督がつきっきりで経過を確認していた。

   日本だったら、おそらく田中は今季の登板はなかっただろう。大リーグはちょっと違う。来年まで投げられるかどうか分からないと、投手スタッフの編成ができなくなる。来年も投げられることが確認できれば、それが容易になる。

   このことは同僚の黒田の契約にも影響を及ぼす。田中に不安が残れば黒田残留は強くなるし、そうでない場合は黒田の年齢から考え、大胆な若手切り替えに踏み換える可能性が出てくる。ヤンキースは主力投手の故障者が相次ぎ、無名の若い投手をトレードなどで集め、後半戦を戦ってきた。

   今季限りでジーターが引退することもあって、ヤンキースの来年は新しいチーム作りに入るはずである。田中は投手陣の中心になることは間違いない。

   田中の代理人も故障に驚いたはずだ。契約問題でヤンキースと新たな交渉をする必要が出てくる。この点も日本と異なるところである。高額契約の裏側では、故障などアクシデントの場合には厳しい条件がつけられている。田中の1球はいろいろな方面に響く。これが大物の証明なのである。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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