2024年 5月 4日 (土)

「中華スマホ」がサムスン追い詰める 中国でシェアトップ、おひざ元韓国でも攻勢

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   中国メーカーのスマートフォン(スマホ)の勢いが止まらない。地元中国の市場では、「王者」だった韓国サムスン電子のシェアを次々に奪い、首位の座から引きずり下ろした。

   そして今度は、サムスンのおひざ元である韓国市場に攻勢をかける。価格面で優位に立つだけでなく、品質に対する評価も悪くないようだ。

韓国参入はZTEが口火、ファーウェイと小米が続く

中国市場で小米がトップに立った
中国市場で小米がトップに立った

   韓国の英文経済誌「ビジネスコリア」電子版が2014年8月6日、興味深い記事を配信した。近年存在感が増す中国メーカーのスマホを、韓国の消費者が購入する傾向が強まっているという。サムスンやLGといった韓国メーカーの半額という価格競争力が強みだ。

   最初に韓国に進出したのは中興通訊(ZTE)。2013年に「激安スマホ」を発売したところ、売り切れた。次に投入したモデルも好調で、それを見た華為技術(ファーウェイ)や小米科技(シャオミ)といった競合他社が「商機あり」と乗り出してきたという。

   世界市場全体で見れば、サムスンは米アップルと並ぶ「2強」だ。米調査会社IDCによると、2013年の世界出荷台数シェアはサムスンが31.3%でトップを維持する。一方で3位にファーウェイ、5位にレノボと中国メーカーが入った。しかもシェアを大きく伸ばしてのランクインだ。巨大市場・中国での勢いがこれを裏付ける。英調査会社カナリスが2014年8月4日に発表した4~6月期のメーカー別出荷台数は、小米がサムスンを抜いて初めてトップに立った。サムスンは前年比15%減で2位、しかも3位のレノボとの差はわずかだ。後続の追い上げも激しく、このままでは中国トップ5からはじき出される恐れもある。

   そして今度は韓国市場が標的にされた。市場規模では中国に比べてずっと小さいが、サムスンにとっては地元を攻められるのは面白くなかろう。

   「ビジネスコリア」は韓国の消費者が、いわゆる「中華スマホ」を安物とは見ておらず、2~3万円の価格帯の製品としての品質は十分保っていると考えているとした。サムスンやLGがもし不始末でも起こせば、小米やファーウェイ、ZTEにシェアを奪われる可能性はあるとの専門家の見方を載せている。9月30日には、ファーウェイが韓国向け端末の発売を明らかにした。性能は高級スマホに引けをとらず、価格ではサムスンの最新端末よりずっと安価だという。

サムスンとLGの牙城を崩すのは容易でない

   中国勢をさらに勢いづかせそうなのが、韓国で2014年10月1日に施行された「端末流通構造改善法」だ。スマホ購入時の割引を制限する内容で、10月7日付の日本経済新聞電子版によると、上限が34万5000ウォン(約3万5000円)となり、「メーカーの希望小売価格は高いが割引幅も大きかった韓国メーカーの高機能機には不利な仕組み」だという。

   ただ現状では、「中華スマホ」の韓国での存在感は高いとは言えないようだ。ソウル在住の韓国人ジャーナリストに取材すると、「今でもサムスンとアップルが圧倒的です。中国メーカーのスマホは見かけません」と明かす。サムスン製のスマホが高価格だという声は出ていると認める一方、「今のところ、韓国の消費者が次々に中華スマホに乗り換えている感触はありません」。

   韓国主要紙「中央日報」電子版は2014年9月30日付の記事で、韓国通信会社大手KTの関係者が「サムスンやLGにも低価格モデルはあるため中国製スマートフォンブームにつながるかは未知数だ」と述べたと報じている。前出の「ビジネスコリア」でも、専門家の話として、中国メーカーの拠点は中国市場であり、韓国で中国メーカーのスマホを取り扱う販売店の数は限られているとの指摘を紹介。サムスンとLGの牙城を崩すのは容易でないだろうとしている。

   ただし変化が激しいのもスマホ業界の特徴だ。小米は、2015年に1億台前後のスマホを出荷する見通しだと10月7日付の日経電子版が報じた。これは2014年比で倍増となる。スピードと圧倒的な物量攻勢をかけられれば、サムスンとても安閑としてはいられないはずだ。

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