2024年 4月 28日 (日)

ドラフト「勝ち組」はパ球団ばかり 京大エース指名で話題性も圧勝

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   有原は日本ハム、安楽は楽天へ。2014年10月23日のプロ野球ドラフト会議は、注目選手をパ球団が獲得することになった。

   セは完敗の格好だ。

大リーグも目を付けた逸材、有原は日ハムへ

「京大エース」の本拠地は千葉に
「京大エース」の本拠地は千葉に

   今年のドラフトで「即戦力」と最も高い評価を受けていたのは早大の有原航平投手。東京六大学リーグ戦で今季5勝を含む18勝を挙げ、156キロの速球を投げる。

   1位指名したのは阪神、広島、DeNA、日本ハムの4球団。抽選の結果、日本ハムが引き当てた。有原の出身高(広陵)が地元ということから事前に1位指名を宣言していた広島をはじめとするセ3球団がパ1球団の日本ハムに敗れた。

「甲子園で投げているときから欲しかった」。

   日本ハムの栗山監督は、してやったりの表情だった。大リーグのスカウトからも目を付けられていた逸材だけに声も弾んだ。有原も応じた。

「(日本ハムは)常に優勝争いをしているという印象です。それにファンも熱い、と感じています」。

   早くも北海道のファンにエールを送っている。

   高校生の注目ナンバーワンは愛媛・済美の安楽智大投手。2年生のとき、甲子園で150キロ台の速球を投げ、早くからプロにマークされていた。

   1位指名したのはヤクルト、楽天。抽選で楽天が勝つ。

「田中(将大)さんがいたし、今は松井(裕樹)さんがいる素晴らしいチーム。いろいろと学びたい」。

   そう語る安楽は亡くなったばかりの恩師に「1位指名」を誓っていただけに感無量の表情だった。野球ファンの好むそんな話題をもパの楽天は手に入れた。

「将来のウチの柱になれる素材」。

   大久保新監督も興奮気味だった。安楽は松井と高校全日本で一緒だった。エース則本とともにトリオを形成できる可能性がある。

ダル、マー君、大谷もパが取った

   パ球団は有原、安楽だけではない。京大の田中英祐投手をロッテが2位指名。話題性ではAクラスである。

   昨年のドラフトで中日から指名された慶大工学部出身の福谷投手との「秀才選手時代」をもたらすかもしれない。福谷は今年、中継ぎから岩瀬に変わるクローザーとなり、チームを4位に上げた原動力となった。

   もう一人いる。ソフトバンクが5位指名した中大の主将でエースの島袋洋奨。沖縄・興南高時代、甲子園で春夏連覇を達成したときのエースである。九州での知名度は圧倒的に高く、観客動員につながるだろう。

   甲子園の優勝投手といえば、西武が1位指名した前橋育英高の高橋光成投手。昨年夏に全国制覇した実績が光る。長身で柔らかいフォーム。オリックスのエース金子タイプである。

   セは競合しては負けた。外れ1位はどうしてもかすんでしまう。巨人が単独1位指名した智弁和歌山の岡本和真は高校ナンバーワンのスラッガーなのだが、安楽への関心が強かった。

   最近のドラフトを振り返ると、話題のホープはパ球団が相次いで獲得している感じだ。東北高のダルビッシュ有(現レンジャース)や早大の斎藤祐樹、さらに二刀流の花巻東の大谷翔平は日本ハム。楽天も駒大苫小牧・田中将大(現ヤンキース)や神奈川・桐光学園の松井裕樹らを取っている。

   ドラフトはクジなので運、不運がつきまとう。しかし、話題の選手を獲得すると、翌年のキャンプ、オープン戦でまず注目を浴び、それがペナントレースの観客動員につながる。パはその意味でも、今年も万々歳のドラフト会議といえる。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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