都市ガス「小売り自由化」2017年にも 一般家庭でも供給会社を選べるようになる
2014.10.29 11:42
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保安水準の維持・向上も課題
これに対して大手3社などは「ガス需要開拓に合わせて導管網やタンクを整備するビジネスモデルであり、導管部門も含めて1社でやる方が経済合理性に適う」(大手都市ガス)と主張している。政府は2019~2021年をめどに分離したい考えだが、会計を別にする「会計分離」、別会社にする「法的分離」、資本関係を完全に分離する「所有権分離」などの形態を含め、法案作成の過程で議論は最後までもつれそうだ。
もう一つの大問題が安全確保問題だ。住宅や工場でのガス漏れは、重大事故につながる恐れがあり、現在は各地域の都市ガス事業者が保安責任を負うが、自由化して導管事業者を分離した場合、誰に保安責任を負わせるかをめぐり、意見の対立がある。小売り事業者が、導管から家庭のガス機器まで一体的に保安業務を実施する方が保安水準の維持・向上が図れるとの考えの一方、新規参入者は必ずしも保安の知識や経験が必ずしも十分でないないため、導管事業者に保安責任を課すべきだとの声も消費者サイドなどに強い。
このほか、導管を分離した場合、巨額のパイプライン建設などインフラを確実に整える仕組みをいかに作るか、国の支援のあり方も含めて議論はこれからの課題だ。
様々な問題をはらみながら自由化に向けて走り出した都市ガス改革。消費者の利益になるのか、今後の議論に対して厳しい監視の目が必要だ。