南海本線で「列車にはねられた人が忽然と消えた」 まるでマンガの1シーンのようなデマが拡散し大騒ぎに

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   列車にはねられた人間の姿が忽然と消える、まるであの有名マンガの1シーンの様な出来事が相次いで起きたとして大騒動になった。

   もちろん俄かには信じられないことなのだが、2014年11月16日に南海本線の泉大津駅構内で発生した「人身事故」はツイッターなどでデマが拡散し、幽霊騒動にまで発展した。南海電鉄は今回の「事故」について悪質な迷惑行為は許せないが、「テレビのニュースで取り上げられるなど、ここまで大げさな事態になるとは」と頭を抱えている。

「窓も割れてないし血もついてない リアルガチのGANTZやん」

また、「デマ」だった(画像はイメージ)
また、「デマ」だった(画像はイメージ)

   泉大津駅での騒動は、ホームに到着する直前に乗車中の電車が止まった、というツイッターでの報告が始まりだった。止まった理由は誰かがホームから線路に飛び込んだためであり、飛び込んだ様子を駅にいたたくさんの人が目撃している、という内容だった。それを裏付けるように、ヤフーニュースなどに「泉大津駅構内で発生した人身事故の影響でダイヤが乱れています」といった報道が出た。そして事態は次のツイートで大きく変化する。

「飛び込んだ人消えたらしい」
「運転手が『人が、人が消えた』言ってる やばい、平成の神隠しや」
「女の人が奇声あげながら飛び込んだのに 窓も割れてないし血もついてないんやって リアルガチのGANTZやん」

   この「GANTZ」という実写映画化もされた大人気マンガには、地下鉄のホームに降りた主人公が電車に轢かれた姿が忽然と消えるというシーンがある。そして警察が来て捜査しても見つからなかった、というのだ。事故現場と思われる写真もツイッターにアップされたのだが、今回の事故で人を轢いたとされる電車も写っていて、その窓にたくさんの人の顔が浮かび上がっている、などと「幽霊」騒ぎにも発展した。こうしたツイートによって憶測が憶測を呼びありもしないデマが拡散していった。

   ツイッターをきっかけにデマが生まれたのは確かなのだが、実は、問題となったツイートは意図的に嘘をついたとは考えにくいもので、時系列がバラバラのツイートを読んだ人が勝手にそのツイートを繋ぎ合わせストーリーを作ってしまった、ということらしい。電車の窓に浮き上がったという人の顔も、ホームにいた客の顔が反射したものだ。

山形県酒田市で人が消えたケースは「未だに謎」

   南海電鉄の広報に話を聞いてみると、14年11月16日午後4時18分ごろに泉大津駅ホームに入ってくる電車の運転手が、ホームから線路上に飛び降りる女性を発見した。運転手は警笛を鳴らし非常ブレーキを掛け、電車は停止線上15メートル前で止まった。その女性と電車は接触してなどおらず、女性は自発的に線路からホームに上がり改札から出て行った。改札から出る前に車掌が呼び止めると「飛び降りました」という趣旨の言葉を発した。その後に警察が来て現場検証したが、女性の行方は分からないまま、という。今回の「事件」で列車の遅れが18分出た。電鉄広報によれば、悪質な迷惑行為であり許されることではないのだが、被害としては本来の人身事故と比べれば小さなもの。テレビニュースで取り上げられるなど大騒ぎになっていることに驚いていて、

「人が消えたことなどはありません。デマがなければこれほどの騒ぎになるような話ではないような気がします」

と話している。

   一方、14年11月15日には山形県酒田市のJR羽越本線南鳥海駅で貨物列車と衝突した人が消えた、などといった報道があった。JR東日本秋田支社に話を聞いてみると、この日の午前10時25分ごろに下りの貨物列車の運転士が100メートル前方の線路脇に60代の女性らしき人を見つけた。この時の時速は70キロほどで直ぐに急ブレーキをかけたが女性がいたと思われる場所を過ぎての停車となった。運転士は女性と接触した可能性があると思い110番通報をした。そしてその後、辺りを隈なく捜索したのだが、人の姿は無かった。

「本当にそれは人だったのか、接触は実際にあったのか、ということもよくわかっておりません。未だに謎の状態です」

と秋田支社の広報担当は話している。

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