2024年 4月 16日 (火)

ミドリムシ商品、あちこちで大増殖 食品や化粧品だけでなく、燃料にも

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   ミドリムシ(学名ユーグレナ)を使った商品が多様化しており、全国の大手小売チェーンなどの店頭などでも広く取り扱われ、気軽に購入できるようになっている。

   「ムシ」と呼ばれるため、長く敬遠する人が多かったが、ミドリムシがもつ豊富な栄養素などに焦点があたってきているようだ。

植物と動物の両方の性質を併せ持つ

デザートやデニッシュにも入っている(画像はイメージ)
デザートやデニッシュにも入っている(画像はイメージ)

   コンビニエンスストア大手、ファミリーマートは9月、ミドリムシを使ったデザートやデニッシュなど同社オリジナル商品を含む計5種類の食品を全国の約1万1000店舗で発売した。総合スーパー大手のイトーヨーカドーは10月、ポタージュやお好み焼きセット、ポテトチップスなど17種類の食品を全国の160点舗で新発売した。いずれも「ミドリムシの高い栄養を生かした食品を顧客に届けよう」との狙いだ。

   ミドリムシはそもそも、昆虫ではなく、ワカメやコンブと同じ藻の一種。体長は0.05ミリ程度で、通常は池などの淡水に生息している。最大の特色は、植物と動物の両方の性質を併せ持つこと。葉緑素を持ち、植物のように光合成を行う一方、べん毛があるので動物のように動き回る。このため、動植物両方の栄養素を作り出すことができ、ビタミンやアミノ酸、ミネラルをはじめ、青魚に豊富なDHA(ドコサヘキサエン酸)など59種類もの栄養素を持つ。

   さらにミドリムシは植物がもつ「細胞壁」がないため、細胞壁を分解する酵素をもたない人にとって栄養を効率的に摂取できるという。人が豊富な栄養をバランスよく摂取するには、非常に便利な存在だ。

   そんなミドリムシ入りの商品が作られるようになったきっかけは、バイオベンチャー企業「ユーグレナ」が2005年、世界で初めてミドリムシの大量培養に成功したことだ。ユーグレナは大量に育てたミドリムシを粉末状にして、食品メーカーなどに提供。高い栄養に着目したメーカーがさまざまな商品開発に乗り出した。

製薬会社もミドリムシへの関心

   粉末状のミドリムシはコンブのような味わいで、薄い緑色。さまざまな食品との相性もよく、クッキーやヨーグルトなどに入れたものは人気が高い。製薬会社もミドリムシへの関心を高めており、武田薬品工業はミドリムシを使った健康補助食品を10月に発売した。武田が最も興味を持っているのは、ミドリムシだけがもつ特殊な成分「パラミロン」という。パラミロンは油分などを吸着し、対外に排出する動きをもっているとされ、武田は現在、新たな製品の開発を目指している。

   食品だけでなく、ミドリムシ含有商品は化粧品にも広がっている。ユーグレナは、ミドリムシから抽出したエキスにエイジング効果があるとして、このエキスを使った洗顔料や化粧水などの販売も始めた。

   また、燃料としての活用にも注目が集まっている。ミドリムシは体内で生み出す脂肪が多く、超低温でも凍結しないといい、航空機燃料などに適しているとされる。ユーグレナは現在、日立製作所などと航空機燃料の実用化に向けた研究を進めている。また、いすゞ自動車とはディーゼル燃料の研究も行っている。ミドリムシの燃料化が現実化すれば、日本のエネルギー自給率向上にもつながる可能性もある。

   ミドリムシ、今後もさらに多様な分野で活躍しそうだ。

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