2024年 5月 3日 (金)

緊急連載・はじまった機能性表示(1)
「内臓脂肪減らすのを助ける」「肌の潤いに役立つ」 食品の機能性表示は「国の審査なし」

米国では表示の適切性に問題ありとの指摘も

   トクホとの大きな違いは、国の審査を受けない点だ。事業者の届出が認められれば、「体のココにいい」という言い方が可能になる。消費者庁のサイトで公開されている「届出情報の詳細」を見ると、これまで企業が届け出た「表示しようとする機能性」の記述は、例えば「本品にはヒアルロン酸Naが含まれます。ヒアルロン酸Naは肌の潤いに役立つことが報告されています」や、「本品にはコラーゲンペプチドが含まれるので、膝関節の曲げ伸ばしを助ける機能があります」がある。

   だが新制度に対しては、第三者による厳しいチェックが入らないままで大丈夫かという意見もある。

   主婦連合会は2015年4月10日付で、内閣府消費者担当大臣や消費者庁長官らに向けて機能性表示食品制度の見直しを求める文書をウェブサイト上に掲載した。「機能性や安全性の判断を事業者に託し、事業者の責任で表示させようというもの」「届出内容の審査、チェックを行なわないことを消費者庁は明言しています」と指摘したうえで、「届出情報を公開するからといって、消費者自身が安全と機能を検証することはおよそ不可能です。本制度は、責任を事業者に、リスクを全面的に消費者に引き受けさせる極めて問題のある制度」と厳しい。

   米国では、1994年制定の栄養補助食品健康教育法に基づく機能表示制度がある。日本の制度は製品発売前に消費者庁に届ける義務があるが、米国では製品の発売後30日以内に連邦食品医薬品局(FDA)に届出を済ませればよい。消費者庁の資料によると、米当局が体重減少および免疫機能に関する製品127品について表示の適切性を調査したところ、事業者から提出されたヒト研究557件のうち、有効性に関する表示内容の実証に重要な「表示の意味」「表示とそのエビデンスとの関連性」「エビデンスの質」「エビデンスの総合性」の4点すべてを考慮したと考えられるものは、1つもなかったそうだ。ほかにも7%の製品で、記載が必須である免責表示がなかったり、20%の製品で疾病に関する表示があったりと、問題点が指摘されている。

   国内では、機能性表示の届出は2015年4月1日にスタートし、早ければ6月には商品が店頭に並ぶとみられる。機能性表示は消費者にとって十分信用できるのか、課題は何か。次回から2回にわたり、政府の規制改革会議委員を務めている大阪大学大学院・森下竜一教授に、新制度の論点についてインタビューする。

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