2024年 4月 26日 (金)

五輪陸上競技場に駒沢公園改修が浮上 ただ、「手狭で老朽化」など難点が

   2020年東京五輪の陸上競技に使う施設として、駒沢オリンピック公園総合運動場(東京都世田谷区)が自民党内で有力候補として急浮上した。ネット上では、この代替案を評価する向きも多いが、克服すべき様々な難点があるようだ。

   「駒沢改修というのも、視野に入れていいよね」。自民党が検討している提言として、河野太郎行革推進本部長は2015年8月4日、記者団にこう明かした。

  • 駒沢公園案に賛否(写真は模型)
    駒沢公園案に賛否(写真は模型)
  • 駒沢公園案に賛否(写真は模型)

新国立は、サッカーなどの球技場に特化する案も

   この案は、2500億円超もの新国立競技場が白紙撤回されたことを受けて出てきたものだ。河野氏は、設備などでのコスト削減をしたうえで新国立競技場を作るケースとして、「フルスペックの競技場を1つ作るのか、あるいは、駒沢改修プラス球技場にするのか」と2つの有力案があることを明かした。後者の案では、新国立競技場は、サッカーなどができる球技場に特化されるわけだ。

   河野氏は、新国立競技場を作らない選択というゼロ・オプションの案も検討すべきと強調した。この場合は、既存施設を活用することになる。具体的には、陸上競技は駒沢か日産スタジアム(横浜市)、サッカーなどは日産か味の素スタジアム(東京都調布市)、埼玉スタジアム(さいたま市)、開・閉会式は皇居前広場のような屋外スペース、が想定された。ゼロ・オプションでも、駒沢改修が候補に上ることになる。

   その後、6日になって、行革推進本部と内閣部会、文部科学部会の合同会議で、こうした内容を盛り込んだ提言がまとまった。

   とはいえ、駒沢公園を改修して使うには、ネックも多いようだ。

   駒沢公園の副所長を務めた経験がある鈴木知幸さんは、テレビ朝日系「モーニングバード」に6日に出演し、「改修というのは、いかがなものか」と疑問を呈した。駒沢公園が建設から50年以上経ってかなり老朽化しており、「取り壊して新しくシンプルにした方がよほどお金かからないと思います」と指摘したのだ。

「五輪の陸上はメーンスタジアムで」の声は強い?

   国際的な陸上競技をするには、陸上レーンを現在の8レーンから9レーンにしなければならないが、座席がレーンぎりぎりまであってそのスペースがないという。さらに、道路を挟んで国立病院があり、夜間照明や音量についてかなり神経質にならないといけないともした。

   そもそも、欧米では、陸上競技は五輪の花形であり、それをメインスタジアムでやらなかったとみられて国際的な反発を買う恐れもあるそうだ。最も脚光を浴びる男子100メートルが駒沢で行われることに、鈴木知幸さんは「ちょっとつらい案ですね」と漏らした。

   五輪後の使い道を考えると、サッカーや陸上競技のセットの方が将来的に価値も出てくるという。鈴木さんは、新国立競技場をこうした施設にして、駒沢の方はシンプルな都立施設として別途考えればいいと提案した。

   自民党内から出た提言について、ネット上では、「至極真っ当な提言」「あるものを使えばいい」「五輪後のこと考えるとこれが一番」と評価する声が多数出ている。一方で、駒沢改修案などについて、「実現は難しそう」「一番客入る100m走がもったいない」「五輪の陸上はメーンスタジアムで」といった声も漏れていた。

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