現役引退表明の和田と谷 「名球会」入りで分けた同期の明暗

2000本安打達成が分かれ道に

   二人の共通した目標は通算2000安打の達成となった。

   13年のシーズンが終わったとき、通算安打は谷1921本、和田1900本。14年は和田が85本を上積みしたのに対し、谷は2安打しか打てなかった。二人の逆転劇だった。そして今シーズンを迎えたとき、大記録まで和田は15本。谷は77本。

   和田は6月に2000安打に到達。42歳11か月の史上最年長だった。谷は引退を明らかにした時点であと73本残っていた。今季は4安打しか打てていなかった。

   2000安打を放つと、「名球会」の会員になることができる。この会はプロ野球で大成功した選手たちのステータスとして知られる。長嶋茂雄、王貞治、山本浩二（現会長）らがメンバーで、現役を引退した後の仕事に大きく影響する。

   プロ入りしたときの両者を思うと、最後のシーズンは対照的で感慨深い。二人とも故障との戦いがつきものだった。とりわけ谷は長く苦しんだ。あれだけ安打を放った打者が1本の安打に必死の姿を見せた。力の世界は厳しい。

   谷が女子柔道の第一人者、田村亮子と結婚したのは03年。夫は名門巨人の選手とあって、世間をあっと言わせたカップルだった。その後、妻は2010年に国会へ進出している。

   もちろん、和田も谷も野球人としては一流の成績を残したことをファンは忘れないだろう。

　　　　　　

（敬称略　スポーツジャーナリスト・菅谷　齊）