2024年 5月 5日 (日)

究極の老化予防は「立ち上がるだけ」 歩くよりも病気になりにくい不思議

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【ガッテン!】(NHK総合)2016年11月16日放送
「NASA直伝!魅惑のアンチエイジング術」

   人類は、はるか昔から「いつまでも若々しくいたい」と願い続けてきた。中国では始皇帝が不老の薬を求め、古代ギリシャでは若返りの泉の存在が信じられていた。

   高価な化粧品を使い、日々の運動に励み、質素な食生活を心がけるなど、アンチエイジングに励んでいる人もいるだろうが、実は一切道具なし、きつい運動もなしで、健康と若さを保てることが明らかになった。研究したのは、米航空宇宙局(NASA)だ。

  • 宇宙飛行士は宇宙滞在中に筋力が低下する
    宇宙飛行士は宇宙滞在中に筋力が低下する
  • 宇宙飛行士は宇宙滞在中に筋力が低下する

耳が全身の健康に大きくかかわっている

   地球に帰還したばかりの宇宙飛行士は、立っていられないほど体が衰弱している。例えば半年間の宇宙滞在から帰ってきた古川聡氏は、1人で歩けず、両脇を支えられながら歩いていた。古川氏はこの時ツイッターで、

「気分は最高だが、体はまるで軟体動物のよう。体の重心がどこだか全くわからず立っていられない」

と報告していた(原文は英語)。

   宇宙では地上の約10倍の速さで老化が進む。筋力や心肺機能、骨密度に加え、認知機能、循環機能、免疫力の低下、代謝異常など、全身が老化現象にむしばまれる。最大の原因は、無重力状態で過ごしていたからだ。

   耳の奥、内耳には、重力を感知する「耳石(じせき)」がある。ゼリーのようなものに包まれた無数の毛の上に石が乗っていて、体が傾くと耳石が重力に引っ張られ毛が倒れる。その信号が脳に送られ、人間は体の傾きを知る。

   耳石は全身の筋肉とつながっていて、耳石が体の傾きを察知すると情報が即座に筋肉へ送られ、筋肉が力を入れて体を支える。

   無重力状態では耳石が浮かんでしまい、いくら体を動かしても耳石が動かず、筋肉に信号が送られない。宇宙飛行士は宇宙滞在中に毎日3時間運動するが、それでも筋力が低下してしまうのだ。

30分に1回のペースで

   同様の老化現象は、地上でも長時間座り続けていると起こりうる。体を動かしている時と比べ耳石の動きが少なくなり、耳石の能力が低下してしまうためだ。

   動かないと筋力や骨密度が低下するというのは何となく理解できるが、なぜ認知機能や循環機能、免疫力なども低下してしまうのか。

   耳石は筋肉だけでなく、全身の自律神経ともつながっている。内臓や血管の働きをコントロールする神経で、耳石がよく動くと自律神経の働きも活発になり、心臓の動きや血流が良くなる上、脂肪やコレステロールも多く消費される。

   耳石があまり動かなければ、心臓の動きも血流も悪くなり、脂肪やコレステロールも増えてしまう。

   宇宙飛行士の衰弱からアンチエイジングの術を探り続けてきたNASAがたどりついたのは、ズバリ「立つ」ことだ。

   ただ、普段座っている時間ずっと立っていればよい、というわけではない。元NASAライフサイエンス部門責任者のジョーン・ヴァーニカス氏は、こう話す。

「30分ごとにただ立ち上がってまた座ってください。あなたが行う必要があるのはそれだけです。驚いたことに、立ち上がる方が歩いた時よりもよい結果が出たのです」

   人間はまっすぐ立ち上がっているつもりでも、上下左右に体を傾けている。立ち上がるのは耳石を大きく動かす動作になる。

   NASAの研究では、1日に32回立ち上がる人が最も病気になりにくいという結果が出た。8時間眠ったとして、残りの16時間を32で割ると、30分おきに立ち上がり動作を1回行うのが最も健康的というわけだ。

   番組では、長時間座り続けている代表的な人として、雀荘で麻雀を楽しむ人々、銭湯の番台に座っている人に、30分に1回立ち上がる生活を2週間続けてもらった。その後血液検査を行うと、平均で中性脂肪が15%減、悪玉コレステロールが5%減、善玉コレステロールが11%増という結果が出た。

   寝たきりのように立ち上がれない人でも、頭を持ち上げたり揺らしたりすれば、耳石を動かす効果が期待できる。自分でできない場合は他人に動かしてもらってもOKだ。

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