2024年 5月 6日 (月)

子どもの「スポーツ英才教育」は危ない 早くから専門競技を決めるとケガばかり

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小さい頃から専門化すると「燃え尽き症候群」に

   ――小さい頃にいろいろな競技を経験した方がいいのはなぜですか。

「筋肉や骨格が未発達な子どもは、繰り返しの動作によって傷害が引き起こされる可能性が大人より高いのです。それを防ぐには、競技の専門的なトレーニングにかける時間をほかの運動に使い、体の様々な場所に負荷を分散させることが大事です。実際、トレーニング時間が長くなると、ケガの発生率が高くなることが報告されています」

   ――1つだけの競技を小さい頃から続けていると、バーンアウト(燃え尽き症候群)になるという問題もありますね。

「多くの子どもが高校生になると、スポーツをやめてしまう一方、その頃から優れた才能を発揮する選手もいます。複数のスポーツを経験することが、物の捉え方の幅を広げてくれます。だから、あまり早くから特定のスポーツに没入してしまうのはさけた方がいいでしょう」

   ――しかし、現実には部活の朝練、昼練、放課後練と1つの競技漬けになる子どもが多いです。親はどういう点に気をつければいいでしょうか。

「まず重要なのは、大人が多様な運動を行うことや遊びの重要性を認識することだと思います。子どもが10歳頃までは社会体育(クラブチーム)で活動することを中心にするのです。この時期には、学校で遊ぶ時間や場所をつくりだし、各クラブで専門競技以外の運動を行うといいでしょう。10歳をすぎた頃から徐々に専門競技への移行が始まります」
    「私が米国で幼稚園児と小学校低学年児にサッカーを指導した経験からいうと、子どもは色々なスポーツを行っていましたが、その理由の1つが共稼ぎの親が多かったことです。両親のどちらかの仕事が終わるまで子どもは帰宅できません。そのため放課後の課外活動に色々なクラブに参加する子が多いのです。平日の5日間、月曜はテニス、火曜はサッカー、水曜はダンス、木曜はヨガ......などです。女性の社会進出の度合いが日米で異なる点が影響しているのかもしれません」

   日本では、スポーツ教室に母親がベッタリついてくる光景がよくみられるが、それが結果的に母子双方にとってマイナスに働いているのだろうか。

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