2018年 12月 11日 (火)

発達障害の子の「偏食」に理由があった! イチゴやコロッケを見ると「痛く」なる

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   「うちの子、食べ物の好き嫌いが激しくて。ふりかけご飯しか食べないの!」。わが子の「偏食」に悩む親は多い。特に発達障害の子どもは半数近くが偏食といわれる。

   ところが最近、発達障害の子の「偏食」の背景には、食べ物に対する「感覚」が鋭すぎるため、子どもなりにその食べ物を嫌う理由があることがわかってきた。では、どうしたら改善することができるだろうか。

  • 少しでも食べたらほめてあげよう
    少しでも食べたらほめてあげよう

食べられるのはカレーとラーメンだけの子

   偏食の子どもを持つ親の嘆きは深刻だ。女性向けサイト「発言小町」(2016年2月6日付)に、「超偏食の発達障害児...どうすればいいかわからない」という投稿が載り、反響を集めた(要約抜粋)。

「広汎性発達障害と診断された4歳の子の偏食に、とても悩んでいます。保育園の給食をほとんど食べません。食べられるのはカレーや麺類だけ。家でもカレーや麺類、おにぎり、鮭だけ。果物や牛乳は食べません。保育園と相談し、ふりかけご飯を持たせましたが食べませんでした。自宅で色々な料理を出しても全く手をつけず、結局、『ラーメン食べたい』と騒ぎます。療育センター、発達クリニックに相談しても、『いつかは食べるようになる』『食べる物があるだけでも良かった』といわれます。子どもから逃げ出したくなります」

   投稿には同じ悩みを抱えた人の涙ぐましい励ましの声が相次いだ。

「息子が発達障害の偏食でした。牛乳を飲まないので、夏の暑い時期に飲み物を欲しがっても牛乳しか出しませんでした。喉が渇いて仕方なく飲みました。それが冷たくて美味しかったらしく、以後は飲めるようになりました。カレーに色々な物を入れました。みじん切りにしたり、ミキサーにかけたり、試食スタイルで爪楊枝に刺して出したり。一口でも食べないと、食べられる料理を出さない事もしました。今は大学生ですが、ほとんどの物は食べられます。『偏食でも死にはしない』とトライするのがベターだと思います」

食べ物の見た目、におい、かむ音で吐き気がする

   ただ最近は、このように無理やり食べさせるのはトラウマになってよくないという専門家の意見が出ている。発達障害の子どもの偏食は、「好き嫌い」といった性格の問題ではなく、背景には食べ物を見ると気持ちが悪くなる「過敏感覚」の問題があることがわかってきたからだ。2017年4月5日放送のNHK『おはよう日本 発達障害の最新研究 なぜ偏食? どう改善?』では、この「過敏感覚」の問題を取り上げた。

   番組には、発達障害の子どもの特別支援を研究している東京学芸大学の高橋智教授が登場した。高橋教授が発達障害の子ども137人を調査すると、半数の子が極端に少ない種類のものしか食べない「偏食」の問題を抱えていた。そして、その子どもたちは発達障害特有の食べ物に対する「過敏な感覚」を持っていた。高橋教授はこう説明する。

「たとえば、美味しそうに見えるイチゴでも、その表面の粒々(つぶつぶ)が目に飛び込んできて気持ちが悪くなる子がいます。コロッケのサクサクした食感を、口の中で針に刺されたように痛いと感じる子がいます。揚げたコロッケの衣を見ただけで、生け花の剣山のような尖った物の恐怖を感じるのです」

   見た目だけではない。においをかいだだけで強い吐き気を催す子がいる。モグモグ、パリパリというかむ時に口の中でする音が、耳触りで我慢できないという子もいる。高橋教授はこう語った。

「食べ物を『見る』、においを『かぐ』、かむ音を『聞く』だけで、気持ちが悪くなる子がいるのです。また、食べ物をかんだり、飲みこんだりすることができない子もいます。これまでは、『好き嫌い』とか『わががま』の問題と見られていた偏食の裏には、子どもの特性や生理的な理由があることが研究でわかってきました」

小学校で無理やり食べさせられ、高校生で糖尿病予備軍

   こうした子どもの特性を理解してあげないと、食べ物に対するトラウマがずっと残る心配がある。番組には高校2年生のA君が登場した。A君は現在もキノコや豆などの「滑らか」な食感の食べ物を受け付けない。ゴムやプラスチックを食べた気がして吐いてしまう。保育園や小学校では、給食を食べ終わるまで1人だけ教室に残され、よく泣いた。人前で食べることが怖くなり、外食ができなくなった。現在も偏食が続き、医師から糖尿病の予備軍と診断され、定期的に血液検査をしている。A君はこう語った。

「小学校の先生が『食べないのはおかしい』と決めつけ、無理に食べさせようとするのがつらかったです」

   周囲の無理解が、まだ高校生のA君を糖尿病の一歩手前にまで追いやったわけだ。A君の傍らで母親がこう語った。

「小さい頃に気づいてあげられるのは家族だけです。息子には『ごめんね』という気持ちでいっぱいです」

   番組では、発達障害の子どもの「偏食」対策に取り組んでいる広島県の広島市西部こども療育センターの活動を紹介した。子どもたちに給食を提供しているが、栄養士が保護者から食事の傾向を聞き取り調査している。そして、1人1人の特性に合った食事を調理し出している。たとえば、その日の献立は「すき焼き」だった。硬い物が苦手な子には食材をふやかしたり、ミキサーにかけたりして軟らかくして出す。逆に軟らかい物が苦手な子には食材を素揚げにするなど硬くして出す。また、ピーマン、肉、トマト、魚など食材をイラストにして、料理と一緒に見せながら食べさせている。栄養士がこう語った。

「何を食べさせられるかという不安が、偏食になる理由の1つですから、子どもたちに『これはトマトだよ』と教えて安心させるのです」

   ここに通う子どもの9割は2年ほどで偏食が治り、通常の学校給食を食べられるようになるそうだ。

スプーン1杯はやりすぎ、米粒1つでほめてあげよう

   発達障害の専門サイトを見ると、偏食の背景に食べ物に対する「感覚過敏」があることを指摘する内容が目につく。「NPO法人ぷるすあるは」が運営する「子ども情報ステーション」(2016年10月19日付)の「こんな子いませんか? 教室でわがままに見える子の感覚過敏」にこう書かれている(要約抜粋)。

「給食時間に牛乳など特定のにおいを嫌がったり、ぬるりした食感を嫌がったりする子はいませんか? 一見、わがままな子に思われますが、努力しても治すことができません。学校の中では、みんなと同じことが求められる場合が多く、大変生きにくい思いをしています。魚のにおいが苦手で、食べることも、スーパーの売り場に行くことも苦手なA君。給食当番でおかず係。今日のおかずはサンマの塩焼きです。食缶のそばに寄るだけで、吐き気がします。吐いてしまったら、みんなのおかずが台無しです。先生に助けを求めました。先生は、分かってくれ、今日は牛乳配りにしてくれました」

   では、わが子の偏食が「感覚過敏」によるものだったら、どうしたらよいだろうか。同じく発達障害の専門サイト「うちの子『育てにくい子』?」の「偏食が激しい時の対処法」にはこう書かれている(要約抜粋)。

「発達障害の子の偏食をなくすにはお子さんの観察が大事! まずは子どもが何を嫌っているのか観察します。ちょっとした辛さでも痛いと感じ、とろみのついているものを気持ち悪いと思うことがあります。また、金属のスプーンが唇にふれる感覚を嫌がることもあります。金属の食器を嫌がる場合は、木の物に代えると食べることがあります」
「発達障害の子は、嫌な出来事が強く印象に残ります。『ちょっとでいいから食べてごらん』と言われ、無理やり口に入れられたことが原因となり、何十年たってもその時のことが思い出され、パニック状態になる人がいるほどです。その食べ物に興味を持ったら、ほんの少し食べるところから始めてください。食べたらほめてあげます。ほんの少しとはお米ならばひと粒程度を意味します。障害のある子に、スプーン1杯の量は多すぎます」
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