【熊本地震1年(中)】
観光地、復興ほど遠く... 阿蘇・草千里は閑散、熊本城修理に20年

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   熊本県内有数の観光地、阿蘇は1年前の地震で大打撃を受けた。熊本市内につながる国道57号は大規模な地滑りで寸断され、阿蘇大橋崩落もあって阿蘇へ向かうには大幅に遠回りせざるを得ない。JR豊肥線も、不通区間の復旧には時間がかかる。

   春から初夏のこの時期、本来なら阿蘇山の雄大な風景を見に訪れる観光客が増える時期だ。休日に訪れた記者は、厳しい現実を目にした。

  • 阿蘇中岳へ向かうロープウエー駅の駐車場は、満車とはならず(一部加工)
    阿蘇中岳へ向かうロープウエー駅の駐車場は、満車とはならず(一部加工)
  • 火口見学のためのロープウエーは運休中
    火口見学のためのロープウエーは運休中
  • 阿蘇神社の楼門はカバーがかけられ、現在再建が進められている
    阿蘇神社の楼門はカバーがかけられ、現在再建が進められている
  • 熊本城の天守閣は傷みが激しく、作業用クレーンも見えた
    熊本城の天守閣は傷みが激しく、作業用クレーンも見えた

中岳ロープウエーは運休中

   熊本市内から「九州横断バス」で阿蘇に向かった。最初の目的地はJR阿蘇駅。本来なら直接、草千里や阿蘇中岳火口にアクセスするロープウエーの駅まで行けるはずだが、現在は中断中。しかも国道57号に不通区間があるため、JR肥後大津駅を過ぎた後に「ミルクロード」と呼ばれるう回路を通る。ただでさえ時間がかかるうえ多くの車両がこの道を通るので、しばしば渋滞が起きる。記者が乗ったバスも30分近く遅れて到着した。

   阿蘇駅で路線バスに乗り換える。乗客は外国人観光客5人を含め10人もいない。20分ほどで草千里やロープウエーの駅がある終点「阿蘇山西駅」に行ける。山登りの道で頻繁に工事をしており、時折1車線に制限されていて対向車を待つこともあった。ところどころに「地震で崩れた道路を舗装しています」という看板が立つ。

   草千里は有名な観光地だが、下車する客はゼロ。外を見ると駐車場はガラガラで、草千里を巡る観光用の馬はつながれたまま、所在ない様子だ。終点に到着すると、ここも駐車場は車がまばらで、マイカーで訪れている観光客も少なく土産物店は閑散としていた。

   売店の店員は「地震の前まではお客さん、いっぱいだったんですけど...」と渋い表情だ。大きな原因のひとつに、道路事情を挙げた。地震による国道57号の寸断が、熊本市内からのアクセスに大きく影響している。県道111号(阿蘇吉田線)で阿蘇山に南から向かうルートや、西側につながる県道298号(阿蘇公園下野線)も通行止めが続き、車の利用者には障害となっている。

   もうひとつ、火山活動の影響で中岳火口へ行くロープウエーが現在運休中なのだ。阿蘇山の噴火警戒レベルは2017年2月7日に「1」に引き下げられ、平常時に戻ったが、ロープウエーを再開させるには整備が必要で、4月21日現在、動かせない状態となっている。

   1時間ほど滞在して、記者は阿蘇駅に戻るバスに乗り込んだ。乗客は「行き」の時とほとんど同じ顔触れだ。これを逃すとあと3時間ほど待たねばならない。火口を見物できず、もう十分と判断した人が多かったのだろうか。

「震災前は、中国や韓国からの観光客でいっぱいで、1台のバスに乗り切れず臨時便を出したんですよ」

   バスの運転手はこう明かした。

   短時間の滞在だったが地震は起きず、危険を感じることは一切なかった。ただ、ゴールデンウィークに客足がどこまで戻るか、先行きは不透明だ。

阿蘇神社では修復費用の募金の張り紙が

   その後、阿蘇駅からJR豊肥線の電車に乗り、2つ目の宮地駅で降りて、地震で倒壊した阿蘇神社に足を運んだ。こちらは、参拝客の数は多かった。国の重要文化財に指定されている楼門をはじめ6棟が地震で倒壊した。すでに解体された建造物もあるが、楼門は修復のため全体が大きなカバーに覆われていた。参拝路には、震災直後の建物の様子を写した写真が何枚も張られており、痛々しさが伝わってくる。

   案内所で話を聞くと、楼門の再建は手作業で進められており、少なくとも7年はかかるだろうという。境内では数か所で、修復費用の募金を呼びかける張り紙があった。

   別の日、やはり地震で被災した熊本市内にある熊本城にも行ってみた。現在、城に近づいて中に入ることはできない。遠巻きに眺めようと二の丸公園から、加藤清正をまつった加藤神社まで歩いた。天守閣付近には鉄骨が組まれ、大型のクレーン車も見える。崩れた石垣の修復のため、ひとつひとつの石に番号が振られて並べられていた。今後、時間をかけて積み上げられていくようだ。

   熊本市は、熊本城の修理が完了するには20年かかるとしている。

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