2024年 4月 27日 (土)

憲法改正2020年「施行」目指す 安倍首相、読売インタビューで明言

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   日本国憲法施行から70周年を迎えた2017年5月3日。読売新聞(東京本社最終版)は朝刊1面のトップ項目に「憲法改正20年施行目標」の見出しで、安倍晋三首相のインタビューを掲載した。

   ここで安倍首相は、東京五輪・パラリンピックが行われる20年を目標に、憲法9条に自衛隊の根拠規定を設けるなどの改正を行いたいとの考えを示した。具体的な改正内容や時期を明言したことで、改正に向けた具体的な議論が加速しそうだ。

  • 安倍首相(2016年8月撮影)
    安倍首相(2016年8月撮影)
  • 安倍首相(2016年8月撮影)

「党の改正草案にこだわるべきではない」

   安倍首相は、これまでも憲法改正について「私の在任中に成し遂げたい」(16年3月の参院予算委員会)などと意欲を示していた。また17年5月1日に行われた、超党派の新憲法制定議員同盟(会長:中曽根康弘元首相)主催の「新しい憲法を制定する推進大会」では、

「憲法改正という大きな目標に向かって、この(施行70周年の)節目の年に、必ずや歴史的な一歩を踏み出す」

と、17年中に改正へ向け動き出す決意を示していたが、今回の読売インタビューは、さらに一歩踏み込んだ内容となった。

   インタビューでは、従来の自民党が取ってきた立場と比べて「軟化路線」に転じた。例えば、自民党が野党時代の12年に作成した憲法草案では、9条で「国防軍」の保持を明記していた。しかし、今回のインタビューでは、

「党の目指すべき改正はあの通りだが、政治は現実であり、結果を出していくことが求められる。党の改正草案にこだわるべきではない」

とし、1項の「戦争放棄」、2項の「戦力の不保持」を残しつつ、「自衛隊の存在を記述するということを議論してもらいたい」とした。

   各党との連携もそうだ。安倍首相は、「教育無償化」を憲法改正の柱に置く、日本維新の会について「積極的な提案を歓迎する」とし、9条に加え、教育無償化を優先した自民党の改正案を、速やかに衆参両院の憲法審査会へ提案する方針を示した。また、他の野党議員に向けても「案を示し、賛成して頂ける方なら、どなたでも賛成してもらいたい」と呼びかけた。

「国民投票」までのスケジュールは?

   今回の安倍首相の発言の最大のポイントは、2020年の「施行」を目標として掲げたことだが、実現に向けたスケジュールは厳しいものになりそうだ。憲法改正には、国民投票を経る必要がある。国民投票のみを行うこともできるが、国政選挙と同時に行われる可能性もある。このまま衆院が解散されないとすると、総選挙は18年12月の任期満了後に行われる。この衆院選のタイミングか、19年夏の参院選に合わせて行われる可能性もある。

   国民投票は、次のような手続きを経て行われる。まず衆院議員100人以上、参院議員50人以上の賛成により、憲法改正案の原案が発議される。これを衆参両院の憲法審査会で審査したうえで、両院の本会議に送られる。ここで両院議員のそれぞれ3分の2以上が賛成し、可決されると、国会が憲法改正の発議を行う。この日から60日以降、180日以内に、国民投票が行われる。投票権を持つのは満18歳以上の日本国民だが、投票が18年6月までに行われた場合は満20歳以上が対象となる。

   また国会の手続きだけでなく、首相がインタビューで「国民的な議論が盛り上がっていかなければこの目的は達成できない」と指摘するように、世論の動向にも左右されそうだ。

   憲法施行70周年を機に、各メディアは世論調査を行っている。その結果を「憲法9条」への回答にしぼって見ると、NHK(4月29日)では、「改正する必要があると思う」が25%、「改正する必要はないと思う」は57%。朝日(5月2日)では、「変えるほうがよい」は29%、「変えないほうがよい」63%。毎日(3日)では「(改正すべきだと)思う」が30%、「思わない」が46%。「(改正が)必要」が49%、「必要ない」が47%となった共同通信(29日)のような結果もあるが、安倍首相が主張するように「機が熟している」かどうかは議論が分かれそうだ。

海外メディアの反応は

   安倍首相の自民党総裁としての任期は、18年9月まで。総裁には再選規定があるが、17年3月の党大会で「連続2期(6年)」から「連続3期(9年)」となった。もし18年の総裁選で再選され、3期目に突入すれば、21年9月まで総裁を続けることができる。

   「任期中の改憲宣言」ともとれるインタビューを受けて、近隣諸国のメディアも、安倍首相の発言を速報している。中国共産党系の環球時報は、「『戦争放棄』条文残す」の見出しで事実関係を報じ、韓国の公共放送KBSは、

「『戦争できる国』への変身のための憲法改正に没頭する安倍晋三首相」

の枕詞つきだったものの、現時点では発言内容について踏み込んだ論評はしていない。左派のハンギョレ新聞は、

「最近、日本の世論調査の動向を見ると、憲法改正自体には賛成意見がますます増えているが、現行憲法の核心である9条を変えることには否定的な意見が多い」

とした上で、今回の安倍首相の発言は

「実質的に軍隊と同様に活動している自衛隊を憲法に規定する道を提示した」

と解説。その上で、

「日本では安倍政権下での憲法改正が、最終的には9条自体の変更につながるという懸念が強い」

と、将来的には9条の1~2項も改正されることへの懸念を示した。

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