2024年 4月 25日 (木)

内閣府「おとう飯」キャンペーンって何? 「夫も料理を」への風当たり

   内閣府の男女共同参画局が「おとう飯(はん)」というキャンペーンを開始した。夫の料理へのハードルを下げ、家事に参加する時間を増やすための取り組みだ。

   一方、インターネット上では「その前に労働時間を6時間ぐらいにすれば」「早く帰れないのが実情だろうに」などといった意見が少なくない。内閣府はどう考えているのか。

  • 「おとう飯」キャンペーン大使任命式に出席した「イシバシハザマ」石橋尊久さん(右)と、加藤勝信・内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画) (写真提供:内閣府)
    「おとう飯」キャンペーン大使任命式に出席した「イシバシハザマ」石橋尊久さん(右)と、加藤勝信・内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画) (写真提供:内閣府)
  • 「おとう飯」キャンペーン大使任命式に出席した「イシバシハザマ」石橋尊久さん(右)と、加藤勝信・内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画) (写真提供:内閣府)

「これまで料理なんかできないと思っていたあなた」

   内閣府は2017年6月12日に「おとう飯」キャンペーンを開始。特設サイトには「これまで料理なんかできないと思っていたあなた、立派な料理を作らなければいけないと思っていたあなた。いいんです。『おとう飯』ならいいんです! 簡単に、手間を掛けず、多少見た目が悪くても美味しければ、それが『おとう飯』」といったメッセージが書かれている。

   J-CASTニュースの取材に答えた内閣府・男女共同参画局推進課の担当者によると、活動としては各種イベントに参加しての周知と、専用ウェブサイトでのこうしたイベント告知・情報発信などをしていく予定。狙いとしては「夫の料理参加へのハードルを下げたいと考えています」と話す。

「料理は、普段からやっている人にとっては簡単なことかもしれませんが、普段やらない人、できない人にとっては足踏みしがちです。そういう観念にとらわれず、難しいものじゃないという意識をもってもらえればという考えで『おとう飯』を立ち上げました」

   キャンペーンでは「おとう飯大使」として、6歳の娘と2歳の息子を持ち、育児に関する民間資格も複数取得しているお笑いコンビ「イシバシハザマ」の石橋尊久さん(41)が選任され、6月12日には任命式が行われた。その模様はウェブサイトで公開しており、石橋さんが考案し、任命式で紹介した15分程度でできるレシピも掲載している。7月1日には岡山市で開かれる「第12回全国食育推進大会」に参加し、石橋さんのトークや簡単レシピの紹介などがなされる予定という。

夫の家事・育児時間=米173分、ドイツ180分、日本67分

   キャンペーン実施の背景には、男性の家事・育児への参加時間の短さがある。内閣府の「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」が3月に発表した資料によると、6歳未満の子を持つ夫の家事・育児参加時間は週全体でみて1日あたり67分(2011年時点)、妻は461分と大きな差がある。欧米先進国では、米国は夫173分(妻339分)、ドイツは夫180分(妻371分)、スウェーデンは夫201分(妻329分)など、日本と比べて夫の参加時間が長い。

   そこで政府は、上記の夫の家事・育児参加時間を「2020年までに150分」にする目標を掲げた「第4次男女共同参画基本計画」を15年12月に閣議決定した。17年3月には内閣府の男女共同参画会議の「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」が、夫の家事・育児参加時間を増やすための課題や対策を整理した報告書をまとめた。

   キャンペーンはこうした目標を達成するための政策の一環で、今回は家事の中でも料理にフォーカスした。石橋さんを大使に選んだ理由は、「家事・育児をこなしながらも、何でもできる『イクメン』とは若干違い、良い意味で『庶民的』な面があります。世の夫の皆さんにとって共感しやすく、同じ目線で家事への参加方法を見せてくれると思いました」という。

   ただ、ツイッター上では

「民間の労働環境是正が先やろ」
「早く帰れないのが実情だろうに...」
「おとう飯なんてフザケンナですよ。そんなんよりも夫を早く家庭に返して下さい」

   と、そもそも働き方を変える必要があるとの意見が少なくない。

   こうした反応について、内閣府の担当者にどう思うかを聞くと、「もちろん『おとう飯』キャンペーンだけで全てが変わるとは思っていません。あくまで夫の家事・育児参加時間を増やす政策のうちの1つという位置づけです」として、次のような見解を述べた。

「働き方改革はすでに厚生労働省が主体となって進めております。それに、長時間労働が是正されても、それで即家事・育児への参加につながるわけではないはずです。『働き方』の反対側にあるのは『暮らし方』だと考えており、その1つが夫の家事参加です。この両者は両輪で進めていく必要があると思っています」
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