2024年 5月 8日 (水)

安倍政権は「経済統制」がお好き 酒の「官製値上げ」の行方 

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値上げで需要はどうなる

   この間、3紙が社説(産経は「主張」)で取り上げたが、共通して指摘するのが、従来から不当廉売一般の防止が独占禁止法で禁じられていること。「なぜ法改正してまで酒だけを特別扱いするのか」(日経6月15日)、「酒類だけを狙い撃ちし、いわば官主導の値上げを引き起こすのは、いかにも不合理ではないか」(産経7日)との疑問は当然で、「今回は、これに屋上屋を重ねた」(読売15日)ということになる。

   そして、「総販売原価」を下回ってはならないなどの基準について、「現実には、企業努力による値引きと、不当な安売りとの明確な線引きは難しい。小売りの現場には「何が過度な安売りか、基準がわかりにくい」との声がある」(日経)と疑問を呈すとともに、「厳しい規制は、仕入れや輸送の合理化といった創意工夫による健全な価格競争まで損ないかねない」(産経)との懸念を訴え、「違法な安値販売を認定する根拠となるコスト計算の仕組みなどについて、国税庁は、小売業界に分かりやすく説明することが重要」(読売)と、くぎを刺している。

   安倍晋三政権は規制緩和の看板を掲げる一方、デフレ脱却の大義名分の下、経済界に賃上げを強いる「官製春闘」のように、国家資本主義とまでは言わないまでも、時に「経済統制」に踏み出すことも厭わない。今回もその一つで、値上がり→デフレ脱却の流れも意識されている。

   だが、値上げで需要が減れば「個人消費の回復にも、よい影響を与えるはずはなかろう」(産経)と見るのが自然。であればこそ、メーカーは「高くても売れる魅力的な商品の開発に力を入れることも忘れてはならない」(日経)し、「そうした技術革新の努力と工夫こそが、デフレ脱却に向けて成長を底上げする原動力でもある」(読売)という理屈になる。

   今回の規制強化が、どっちの方向に転ぶのか、注視する必要がありそうだ。

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