2024年 5月 2日 (木)

子供の食物アレルギー 「早期に食べさせる」&「肌ケア」で予防できる

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【すくすく子育て】(Eテレ)2017年8月12日放送 「食物アレルギーの新常識」

   子の「食物アレルギー」に神経を尖らせる親は多いだろう。月齢が進んでも、アレルゲン物質が入ったものはなかなか食べさせられないという人もいるのでは。

   しかし、食物アレルギーはむしろ「早くからアレルゲンを食べるのが予防や治療に効果的」だという。食物アレルギーの新常識について、国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘医長と、神奈川県立こども医療センターの馬場直子皮膚科部長が、親の悩みに答えながら解説した。

  • 早くからアレルゲンを食べさせるのが肝心(文と写真は関係ありません)
    早くからアレルゲンを食べさせるのが肝心(文と写真は関係ありません)
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食物アレルギーは遺伝しない

   東京都の奈良咲希乃(さきの)ちゃん(10か月)は6か月頃から離乳食を始めたが、母親の佳代子さんに多くのアレルギーがある上、父親の大吾郎さんは昔小児ぜんそくとアトピーを患っていたため、咲希乃ちゃんにもそうした症状が出るのではないかと心配で、アレルゲンになりそうな食材をまだ食べさせられていないという。

大矢氏「食物アレルギーは遺伝しない。ぜんそくもアトピー性皮ふ炎も、親がそうだったならなりやすいという傾向はあるが、必ず遺伝するわけではない」

   ではなぜ食物アレルギーが発症するのか。

大矢氏「まだ完全に解明されていないが、湿疹のある赤ちゃんが食物アレルギーになりやすい」

   荒れた皮ふに食べ物などのアレルゲンが触れて体内に入ると、異物と認識して体が抗体を作りアレルギー反応を起こしてしまう。口から食べるより先に皮ふから入ると抗体ができるので、アレルゲン物質を避けるとかえって食物アレルギーのリスクが高くなってしまう。

馬場氏「現代は空気全体が乾燥しやすく、気密性の高い住居で夏も冬もエアコンを付けるため室内も乾燥する。清潔志向で石けんをたくさん使って体をきれいにしようとするあまり、洗いすぎたりこすりすぎたりして本来肌が持っているバリア機能を壊している傾向がある。赤ちゃんの時から保湿するのが大事」

妊娠中・授乳中は食物制限しないで

   東京都の追中悠歩(はると)くん(2歳6か月)は、10か月の頃に卵でアレルギー反応を起こした。

   食後15分ほどで気持ち悪そうな顔になり、全身にじんましんが出て顔も目も腫れてしまった。血液検査の結果卵と大豆のアレルギーがわかり、今は完全に除去している。弟の幸歩(ゆきと)くん(1歳)も卵と大豆のアレルギーだという。

母親の千草さん「長男は乳児湿疹がひどかったので母乳のせいなのかと思った。妊娠中に卵を除去していれば発症リスクを下げられたのかな」
大矢氏「親が妊娠中、授乳中に食物制限をするのはアレルギーの予防にはならない。母親が卵を食べるのをやめても、子供の卵アレルギーは防げない」

   食べ物が原因で乳児湿疹が出ることもないそうだ。

馬場氏「胎内にいた時は羊水で守られていたが、生まれると空気という乾燥した環境の中で暮らすので、ちょっとした刺激で湿疹が出やすい。乳児湿疹がひどいほど後で食物アレルギーや様々なアレルギーになりやすいとわかっているので、乳児期から保湿していい肌の状態を保ってあげると、食物アレルギーを防ぐのにつながる」

保湿はぜんそくや花粉症予防にもつながる

   2008年、ピーナッツを乳幼児期から食べていたイスラエルの子供と、アレルギーを心配して食べさせていなかったイギリスの子供を比較すると、ピーナッツアレルギーの発症頻度はイギリスの方が高かったという調査結果が発表された。

   さらに15年、乳児期からピーナッツを食べた子供は全く食べなかった子供に比べて5歳でのピーナッツアレルギーの発症率が非常に少なかったこともわかり、アレルゲンを除去すればアレルギーの予防になるという考えは間違っていたと判明した。

大矢氏「予防のためには与えるのを遅らせるのではなく早期に食べた方がいい。食物アレルギーのリスクがある場合は病院の先生と相談して、安全に食べられる量を把握した上できちんと食べていく。一つ一つ丁寧に対処すれば食物アレルギーは克服できる」
馬場氏「生まれてすぐからスキンケアを始めてしっかり保湿するのは、皮ふのためだけでなく食物アレルギー、ぜんそくや花粉症などのアレルギー予防にもつながるといわれている。皮ふのケアをしっかりして」

   忘れてはならないのが、リスクがあるのに独断でアレルゲン物質を食べさせるのは危険ということ。必ず主治医と相談しながら治療を進めよう。

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