9秒98桐生祥秀、足首の「硬さ」が大記録達成の武器になった

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   「10秒の壁」を日本選手として初めて突破した陸上男子100メートルの桐生祥秀(21)=東洋大学4年=は、足首が硬く、それがスピードアップに関係していた。

   一般的にスポーツ選手にとって肉体は柔軟性が求められる場合が多い。しかし、スプリンターの場合、足首の固さが「床反力」の大きさにつながるとの専門家の指摘がある。

  • 桐生祥秀(東洋大学ウェブサイトから)
    桐生祥秀(東洋大学ウェブサイトから)

「筋力と床反力の両方でスピードアップができる」

   桐生は2017年9月9日の全日本インカレ100メートル決勝(福井県営陸上競技場)で、追い風1.8メートルの中9秒98をマークし優勝。19年ぶりの日本記録更新と同時に、史上初の9秒台を記録した日本選手となった。

   身長は176センチと決して恵体ではない桐生だが、「足首が硬い」という「才能」がある。11日放送「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)によると、桐生は「足首の固さを強靭なバネのように使う」走法を東洋大の土江寛裕コーチ(43)とともに構築してきた。ピッチ(1秒あたりの歩数)が5.0歩と、世界歴代2位(9秒69)の記録をもつ米国のタイソン・ゲイと同じ数字を誇るが、そのピッチの速さを生かすことにもつながるという。

   どういうことか。アスリート向けの治療院とスポーツジムを併設する「プラストレーナーズ」(名古屋市)のトレーナー・伊藤孝信氏(鍼灸師、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)は11日、スプリンターの足首に関して「柔軟性が高いと床反力を受けるのに筋力が必要になります」とツイッターに投稿。「(同ジムの)メンバーのスプリント能力の高い選手も非常に足首が硬い」と自身の経験も述べている。

   伊藤氏はJ-CASTニュースの取材に

「足首が硬いと『床反力』、つまり地面から受ける反発力が大きくなり、うまく活用できれば前方への推進力につながります。筋力と床反力の両方でスピードアップができるのです」

と話す。「足首の硬さは生まれ持ってのものが大半だと思います」とし、トレーニングで得られるようなものではないようだ。

「和式トイレの時のようなかがむ姿勢がきつい」

   そもそも「足首が硬い」というのは、かかとを下げてつま先を上げる動作をする際、足首があまり曲がらない状態を一般的に指すという。伊藤氏は

「立って前ならえの姿勢からしゃがんでみて、かかとが浮いたり後ろに転がったりすれば、足首が硬い部類に入ります。和式便座にうまく座れないのも1つの基準になります」

と話した。複数の報道によると桐生も「和式トイレの時のようなかがむ姿勢がきつい」と明かしていた。

   柔らかすぎると足首がグニャリと曲がり、踏み込んだ際の力が地面に吸収されてスピードにつながりづらい。伊藤氏は「たとえばパラアスリートの義足には、床反力が高くなるような設計で進歩しているものもあります」と話す。

   一方、広くスポーツ選手は「柔軟性」が高まるように肉体を鍛える場合が多く、「硬い」ほうが競技力の向上につながるケースは少ない。リスクもあり、「スピードは出やすくなりますが、あまり固すぎるとそれだけ大きな負荷がかかり、ケガをしやすくなる一因になり得ます。一概には言えませんが、足首そのものに限らず、膝や腰などに影響が出る可能性もあります」と伊藤氏は言う。

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