2024年 5月 2日 (木)

【水害日本・福岡県朝倉市の今(2)】
5年前も大雨‥立ち直ったらまた悲劇が

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挿し木の植林スギが流木被害拡大した?

   朝倉市にある南淋寺には、江戸時代の1720年にこの地域で発生した水害を記録した古文書が残されている。2017年8月4日放送の「今日感ニュース」(RKB毎日放送)によると、記録されていた地域は、今回の九州北部豪雨の被災地と重なるという。一方で、当時の水害では流木に関する記述がほとんど出てこない。番組では、今回の大雨で大量に発生した流木が、山に植林されたスギがほとんどだと指摘した。

   京都女子大学の高桑進教授が2012年3月1日に発表した論文「杉と日本人のつながりについて」には、スギの植林で「九州地方では、ほとんどが挿し木苗」とある。さらに、「熊本県で、『植えない森づくり』を進めておられる平野虎丸氏によれば、最近の土砂災害で目立つ斜面崩壊の場所は、挿し木苗のスギを移植した所であると主張されている。その理由は、挿し木苗のスギは根が横にしか伸びていないので、大雨が降ると倒れやすいからだと言う」と書かれていた。

   この点は「今日感ニュース」でも言及があった。挿し木のスギは根が浅く、大木に成長すると不安定になる。傾斜のきついところに植林した場合、流されやすいというわけだ。

   大量の流木による被害の拡大は、九州北部豪雨の特徴と言えるだろう。撤去された流木の集積所に行くと、ごく一部とはいえその量と巨大さに圧倒された。黒川地区にある寺内ダムでは、重機を使って流れ込んだ流木を撤去する作業が続いている。豪雨直後は水面が流木で見えなくなるほどだったそうだ。今でも相当の量が残っているように見える。最後の1本が取り去られるのは、いつになるのだろうか。

   国土交通省九州地方整備局は2017年7月28日、九州北部豪雨による流木の発生量が約21万立方メートル、重量にして約17万トン(速報値)だったと発表した。山林由来のものが全体の63%にあたる約13万立方メートルだという。また福岡県は、九州北部豪雨の県内の被害額について、8月20日時点で1941億円程度と発表している。県によると、5年前の水害では被害総額が約521億円だったので、今回の豪雨災害は現時点で既におよそ4倍の規模に達していることになる。

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