2024年 5月 4日 (土)

菅野完氏「ツイッター凍結」騒動が拡大一途 偽アカ登場、陰謀論、「場外乱闘」も勃発

   「日本会議の研究」などの著作で知られるノンフィクション作家の菅野完(たもつ)氏のツイッターアカウント(@noiehoie)が凍結された問題が、各所に波紋を広げている。

   凍結解除を求めるネット署名運動が始まったり、本人を称する「偽アカウント」がツイッターに現れたり、凍結は「安倍政権による圧力ではないか」という陰謀論が広まったり――など、騒動の余波が様々な形で広がっているのだ。

  • 菅野氏の「ツイッター凍結解除」を求める署名も始まった(画像はchange.orgのスクリーンショット)
    菅野氏の「ツイッター凍結解除」を求める署名も始まった(画像はchange.orgのスクリーンショット)
  • 菅野氏の「ツイッター凍結解除」を求める署名も始まった(画像はchange.orgのスクリーンショット)

ツイッター社に抗議の動きも

   菅野氏は2017年9月19日早朝、自身のフェイスブックで「Twitterのアカウントが永久凍結されました」と報告。アカウントが凍結となる理由など、ツイッタージャパン社からの説明は一切なかった、とも訴えた。

   菅野氏といえば、森友学園問題を前理事長の籠池泰典氏への取材を通じて厳しく追及するなど、政権に批判的な姿勢で知られる。ツイッターのフォロワー数は、凍結直前の9月18日時点で6万4600人以上に及んでいた。

   メディアや政治家だけでなく、自身の主張に反発する一般のユーザーに対しても、舌鋒鋭い批判ツイートを繰り返してきた菅野氏。政権に批判的な層から強い支持を集める一方で、主張が異なる保守派のユーザーを中心に彼を嫌う向きも少なくなかった。

   それだけに、今回のアカウント凍結騒動は、菅野氏を支持するユーザーと彼に反発するユーザーの双方から大きな注目を集めることに。それに伴って、騒動をめぐる「余波」もインターネット上の各所に及んでいる。

   まず始まったのは、アカウントの「凍結解除」を求める署名運動だ。署名サイト「change.org」上で19日に始まったもので、21日昼までに5000件以上の賛同意見が寄せられている。集まった署名はツイッタージャパン社に提出するという。

   そのほか、菅野氏が凍結の理由を説明されていないと訴えていることなどから、日本語版ツイッターの公式アカウント(@TwitterJP)に対し、

「どのような基準で菅野完氏のアカウントを永久凍結したのですか?明確な基準をご教示ください」
「@TwitterJP に抗議します。即刻凍結を解除して下さい。本当に残念、日本のtwitterはネトウヨ同然」

などと抗議のリプライ(返信)を直接ぶつけるユーザーも出ている。

「凍結は当然」論が広がるワケ

   このようにツイッター社側の対応を問題視する動きが出る一方で、菅野氏の過去のツイートを問題視し、「凍結は当然だ」と見るユーザーも少なくない。菅野氏が過去に、

「レイシストは死ぬべきだと言っているんです。レイシストは知恵遅れでありキチガイであり犯罪者なので...(後略)」(2013年5月13日)
「各位、テロの準備しようぜ」(2017年7月10日)
「(一般ユーザーに対し)選挙になるとこういうキチガイ増えるからみなさん積極的にバンバンブロックしましょう」(2017年9月17日)

などのツイートを投稿していたことを挙げて、ツイッターの規約に違反しているのではないか、と指摘する動きも目立っている。

   確かにツイッターの規約には、「嫌がらせや脅し、または恐怖を与えて他のユーザーが発言できないようにするといった、攻撃的な行為を禁じています」とある。その中には、「脅迫やテロ行為の助長」や「ヘイト行為」などを禁じる、との文言も設けられている。

   つまりは、上述したような菅野氏の投稿が、こうしたツイッターの規約に反しているため、今回のアカウント凍結に繋がったのではないか――そう推測するユーザーが出ているのだ。

   ただ一方で、菅野氏本人は、自らの過去の投稿も問題ではないか、というネット上の指摘に対し、9月21日朝のフェイスブック投稿で、

「え? ヘイトスピーチしてるようなやつは死ねばいいですよ」

と反論。「不寛容には不寛容で臨むべき」とした上で、「『ヘイト』を目にすれば社会防衛のためにも『死ねよコラ』というてあげるのが正解」との持論を展開していた。

偽アカウントめぐり「場外乱闘」勃発

   そのほか、菅野氏本人を騙った「偽アカウント」もツイッターに登場している。9月20日に開設されたもので、ユーザー名は「菅野完」。アカウントIDも本物(@noiehoie)にアンダーバーの記号を足した「@noie_hoie」となっている。

   この偽アカウントは開設以降、

「今までに何度かセクシャルハラスメントに接触するツイートをしたことは認める。それが凍結の理由なら受け入れざるを得ない」
「TwitterJapanに今まで1円たりとも支払いはしていないことを考えると、こっちに対し返答の義務がないことは当然といや当然」

などと本人になりすましたツイートを繰り返し投稿している。

   こうした動きについて、菅野氏は20日のフェイスブック投稿で「アホに騙されないようにしてください」と注意喚起。翌21日の投稿では、

「なりすまし行為ってtwitterの規約違反らしいが、まだこいつアカウントロックされてない」

とツイッター社側の対応を皮肉っていた。

   さらに、この偽アカウントの登場をめぐっては「場外乱闘」まで勃発することに。扶桑社が運営するウェブメディア「ハーバービジネスオンライン」の公式ツイッターアカウントが、一般ユーザーとネット上で言い争いを始めたのだ。

   かねてから菅野氏に記事の執筆を依頼しているハーバービジネスは、今回のアカウント凍結への抗議や、偽アカウントが現れたことへの注意喚起など、菅野氏を擁護するようなツイートを繰り返し投稿していた。

   こうした投稿を批判するユーザーが現れると、ハーバービジネス公式アカウントは「自メディアの連載陣の偽物に注意喚起して何か問題でも?」などと反論。さらには、菅野氏が過去に「知恵遅れ」「死ね」という言葉を使ったことを問題視した別のユーザーに対して、

「暴言だとは思いますが、あなたみたいな人に使うのは問題ないと思います」

とのリプライも送っていた。

「安倍政権の圧力」説まで

   また、今回の菅野氏のアカウント凍結をめぐっては、「安倍政権による圧力ではないか」という根拠のない憶測も広まっている。

   ツイッターやネット掲示板上では、ヘイトスピーチ投稿をしているアカウントが放置されているケースがあるにも関わらず、菅野氏だけがアカウントを凍結されるのは「おかしい」などとして、

「菅野完氏のツイッターアカウントが凍結されましたがやはり自民党や日本会議や安倍政権にとって都合の悪い人間を排除するっていうことだな」
「安倍政権に都合の悪いツィートをすると、Twitterの挙動がおかしくなるのは、技術的な問題ではなく、政権による言論統制である」

などと呟くユーザーが出ているのだ。実際、慶応大学教授の金子勝氏も19日のツイッターで、

「森友・加計を隠す意図であれば、言論統制。理由の開示を」

と独特な見方をしている。

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