産経新聞コラムが物議 パナマ文書の記者爆殺に「日本の新聞記者でよかった」

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   産経新聞の1面コラム「産経抄」の内容が物議を醸している。「パナマ文書」の報道を続けたマルタの記者が爆殺された事件に触れ、同コラムは「日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない」と書いたのだ。

   死に対するこうした書き方には、「新聞記者を生業にしている方の書く事とは思えません」といった投稿がツイッター上で続出。ジャーナリストの江川紹子氏は、「人の無残な死を、同業の者としてまずは悼むということが、せめてできないのだろうか...」とツイートしている。

  • 「産経抄」は1面に掲載されているコラム(写真は10月19日産経新聞朝刊)
    「産経抄」は1面に掲載されているコラム(写真は10月19日産経新聞朝刊)

「産経抄にはそれくらいの想像力すらないのか」

   2017年10月19日の産経新聞朝刊に掲載された産経抄は、「日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない」の1文で始まる。「地中海の島国マルタで、地元の女性記者が殺害された。車に爆弾を仕掛けるという残虐な犯行である。彼女は『タックスヘイブン』(租税回避地)をめぐる『パナマ文書』の報道に携わり、政治家の不正資金疑惑を追及していた。マルタとはどれほど恐ろしい国か」と続く。

   マルタの女性記者、ダフネ・カルアナガリチア氏は16日、同国で車を運転中に車内に仕掛けられていた爆弾が爆発し、即死した。同氏は世界中の富豪・権力者によるタックスヘイブンの利用実態を暴いた「パナマ文書」の調査報道に携わっていた。その関連で、マルタのムスカット首相夫妻による資産隠し疑惑を2016年から追及してきた。

   カルアナガリチア氏の死は激震をもたらした。20日付のAFP通信によると、マルタの報道関係者ら数百人が19日、首都バレッタの議会前でデモを実施。「脅迫には屈しない」と訴えた。

   こうした現実の一方で、「日本の新聞記者でよかった」とする産経抄の内容は物議を醸した。江川紹子氏は20日未明、ツイッターに

「人でなし、とはこんなものを書く人のことを言うのだろう 。人の無残な死を、同業の者としてまずは悼むということが、せめてできないのだろうか...」

と、今回のコラムが掲載されたウェブ版のURLとあわせて投稿。続くツイートで

「それに、日本で悲惨な事件や事故、災害があって、人々が強い衝撃を受けている時に、他国の新聞が『あぁ、日本人じゃなくてよかった。日本はひどい国だ』と書いたら、どんな気持ちか、産経抄にはそれくらいの想像力すらないのか」

と不快感をにじませた。

「人の悲しみを共感できない人が増えているのでしょうか」

   同コラムに対しては、他のユーザーから一部で「文面はお悔やみの気持ちが出ている」といった声もあった。ただ、厳しい意見も多数投じられている。

「目を疑いました。人の悲しみを共感できない人が増えているのでしょうか」
「新聞記者を生業にしている方の書く事とは思えません。産経新聞殿」
「唾棄すべきコラムですね。とても、同じジャーナリストが書いた文章とは思えません」

   「朝日新聞阪神支局の記者が散弾銃で射殺された事件(広域重要指定116号事件)を知らないらしい」とのツイートもあった。1987年、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に男が押し入り、散弾銃を発砲する事件が起きた。1人の記者が命を落とし、別の1人は重傷を負った。言論を暴力で押さえつけたとして大きな議論を呼び、これを含む複数の襲撃事件は、犯人側が自称した組織名から「赤報隊事件」、あるいは警察庁の指定番号から「広域重要指定116号事件」と呼ばれている。

   今回の産経抄は上記の内容に続き、国際NGO「国境なき記者団」が17年4月に発表した「報道の自由度ランキング」を紹介した。マルタは47位で日本の72位より上位だとした上で、「ランキングを作ったのは、パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織である。日本に対する強い偏見がうかがえる。一部の日本人による日本の評判を落とすための活動が、さらにそれを助長する」と展開。日本のある大学教授が米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した記事「日本のリベラリズムは死んだ」(原題:The Death of Liberalism in Japan)に苦言を述べるなどしている。

   J-CASTニュースが20日、産経新聞社に対し、今回の産経抄はどのような趣旨で書かれたかなどについて取材を申し込んだところ、「個別の記事に関することにはお答えできません」との回答だった。

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