2024年 5月 5日 (日)

大腸が異様に太く、複雑に折れ曲がる 誤った便秘薬の服用が招いた悲劇

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【名医とつながる!たけしの家庭の医学】(テレビ朝日系)2017年10月24日放送
「治りづらい便秘の原因はある間違った便秘対策」

   国民の4人に1人が、便秘に悩んでいるといわれている。加齢とともに増える傾向にあり、特に60歳以上になると男女ともに急増する。

   食物繊維を摂(と)る、体操をする、ツボを押す...などなど、便秘改善のために様々な対策を講じている人は多いだろうが、そんな対策の中に、症状を悪化させ治りづらくさせる危険な落とし穴がある。

1日18錠飲んでも10日間お通じがない

   大竹律子さん(仮名)は、長年、経理として勤めてきた会社を3年前に定年退職した60歳の時から便秘が始まった。

   退職で生活リズムが変わったためか、それまでは1日1回お通じがあったが、2日に1回、3日に1回、4日に1回...と、お通じがない日が増えた。

   野菜をたくさん摂(と)るなどの便秘対策を行うも、さほど効果は得られず。半年後、5日ほど便が出ず、腸にたまったガスが口元に逆流するような感覚に襲われ吐き気をもよおした。

   病院に行くのは恥ずかしく、薬局で「売れ筋No.1」と紹介された便秘薬を購入。飲んだ翌朝にお通じがあり、便秘になって初めて爽快感を覚えた。

   しかし、薬を飲んだら便通があるが、飲まなければない。毎日飲めば1日1回排便できると思い、毎日夕食後に薬を服用するように。翌朝にはお通じが来るので、便秘薬さえあればもう大丈夫だと思った。

   1年後、薬を服用しても翌朝のお通じが来なかった。体が薬に慣れ効果が弱まったのかもしれないと、1回に飲む量を用量以上に増やした。

   飲んだ直後は排便があるが、それも続けると薬の効きが悪くなる一方だった。薬の量はどんどん増え、用量では1回2錠と定められていたが、3倍の6錠を朝昼晩服用し、1日に18錠もの便秘薬を飲んでいた。

   それでも便秘がひどくなり続け、10日お通じがなかったある日、立ち上がったら意識を失い倒れてしまった。原因は200を超える異常な高血圧で、便秘に対する不安が強いストレスとなり血圧を急上昇させたと考えられる。

   ようやく便秘の専門病院に行くと、「弛緩(しかん)性便秘」と診断された。

大量の薬が大腸を疲弊させた

   通常、大腸にはりめぐらされた「腸管神経」が大腸を収縮させ、便が肛門に運ばれる。腸管神経が働かなくなると大腸の筋肉がゆるんで収縮できず、便を運べなくなる。これが弛緩性便秘だ。

   排便できなくなると腸内にどんどん便がたまり、管がふくらむ。正常な大腸は下向きのコの字のような形をしているが、便がたまると重さに耐えきれず垂れ下がり、複雑に折れ曲がった形になってしまう。

   便秘を悪化させていたのは、便秘薬の間違った使い方だった。

   大竹さんが服用していたのは、腸管神経に直接働きかけ、腸の収縮を起こさせる「刺激性便秘薬」と呼ばれるものだ。効果は高いが、長期間連続して服用してはいけない。

   大竹さんは2年半毎日薬を飲み続け、量も勝手に増やした結果、大量の薬で毎日腸が刺激され、腸管神経が疲弊。筋肉がゆるみ、便を送り出せなくなっていたのだ。

   診断後、薬の使用を控え、生活習慣を地道に改善し、正常な便通を取り戻した。

   刺激性便秘薬を使わない方がよいのでは、と思ってしまうが、週2回程度の使用なら大腸に悪影響を及ぼさないと近年の研究でわかってきた。処方する医師もいるが、その際は短期間の使用や頓用を勧めている。

1日1回出なくても便秘ではない

   毎日排便がないと便秘なんだと思ってしまうが、国立病院機構久里浜医療センター IBS・便秘外来の水上健氏によると、週に3回排便があれば便秘ではないという。コンスタントでなくてもよく、忙しい平日は出ないが、ゆっくりできる週末にまとめて出るという人も心配は不要だ。

   薬局で薬を買う場合は、まずは「非刺激性便秘薬」を選ぶとよい。腸管神経を刺激するのではなく、腸内に水分を集め便をやわらかくし排便しやすくするもので、量さえ気を付ければ毎日服用してもOKだ。

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