2024年 4月 26日 (金)

阪大スウェーデン語研究室は、何故あえて声を上げた? センター「ムーミン」設問、本当の問題点

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受験生の今後の「学び」にも影響危惧

   そもそも『ムーミン』は、スウェーデン語系フィンランド人の作家トーベ・ヤンソンが母語とするスウェーデン語で書いた。かつてスウェーデン大使館はフェイスブックで「フィンランドの公用語は、フィンランド語とスウェーデン語なんですよ」(15年9月9日)とも投稿している。同設問は作品(選択肢タ・チ)と言語(A・B)の直接の関連を問うものではないが、「解答へ至る判断材料としてこれらの言語を載せる限り、『ムーミン』の原作がスウェーデン語で記されているという事実を知らない者には、短絡的に『「ムーミン」はフィンランド語で書かれているのではないか』という誤ったイメージを植え付けかねません」と憂慮し、

「短絡的なイメージを与えかねない設問のあり方は、フィンランド文化の多言語性、とりわけフィンランドにおいてはスウェーデン語のような少数言語の存在を無視する危険性を孕むものではないか」

と危惧した。

   受験生の今後の学びにも影響しかねないという。大学の人文・社会系学問は「現地語で記述された資料など、常に客観的な根拠に裏付けられながら文化や社会の実像に肉迫するものでなければなりません」と前提を置き、対比するように「日本アニメがつくりあげたステレオタイプな北欧イメージを根拠とする今回の設問」について、

「トーベ・ヤーンソンやルーネル・ヨンソン(編注:『小さなバイキング ビッケ』の原作者)がスウェーデン語で記した情報に依拠せずとも(つまり現地語を学ばなくても)北欧の実像に迫ることができるといったような安易な発想を植え付けてしまう」

という点をあげた。日本社会に対しても、

「現地語情報に基づかないことで、多言語・多文化社会のようなリアルな北欧の実像から乖離したイメージを再び広げてしまう危険性を孕んでいる」

と指摘した。

   古谷准教授はJ-CASTニュースの取材に、17日にも大学入試センターに確認を求める意向だと話している。

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