2024年 5月 9日 (木)

「第3のビール」シェア争いが激烈 「0.5%」差の中に3社、その勝者は...

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   ビールの低迷に歯止めがかからない。大手5社の2017年のビール類の国内総出荷量(18年1月16日発表)は、前年比2.6%減の4億407万ケース(1ケース=大瓶20本換算)と、1992年に集計を始めて以降の最低記録を13年連続で更新した。趨勢として続くビール離れに、値上がりも追い打ちをかけた形だ。ビール各社はいかに巻き返すのか。

   出荷量の内訳は、ビールが2.9%減の2億459万ケース、ビールより安い発泡酒が4.0%減の5499万ケース、最も安価な第3のビールも1.5%減の1億4449万ケース。2年連続で、3分野すべてで前年実績を下回ったというから深刻だ。

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ビール市場全体の縮小傾向が続く

   「ビール離れ」が叫ばれて久しい。消費者の好みが多様化するなか、若者らを中心に価格が安く気軽に飲める缶チューハイなど他のアルコール飲料に流れ、ビール市場全体の縮小傾向が続いている。

   2017年は、こうした傾向に加え、6月から改正酒税法が施行され、量販店などの安売り規制が強化された影響が指摘される。缶ビールの店頭価格を約1割引き上げた店もあり、こうした値上がりに、夏場の天候不順が加わり、消費に水を差した形だ。

   全体の不振の中、メーカー別シェアをみると、明暗が分かれた。アサヒビールが前年比0.1ポイント上昇して39.1%と、8年連続で首位を維持。以下、キリンが0.6ポイント低下の31.8%、3位のサントリービールは0.3ポイント上昇の16.0%、4位のサッポロビールは0.1ポイント上昇の12.1%だった。

   アサヒは、主力ビールの「スーパードライ」の販売数量が2.1%減の9794万ケースと、29年ぶりに1億ケースを割ったが、業界で話題になったのが第3のビール。シェアの差0.5%の中に3社がひしめく大激戦になり、アサヒが0.6ポイント増の30.0%と、1.4ポイント減の29.7%にとどまったキリンをかわして初の首位に浮上。3位のサントリーも1.2ポイント増の29.5%だった。

クラフトビールへの期待と「限界」

   アサヒは「クリアアサヒ」ブランドが好調で1.0%増の3585万ケースを売った。対するキリンは「のどごし」が4.9%減の4110万ケースと苦戦。サントリーは主力の「金麦」が前年を割ったものの、新商品「頂」がヒットした。

   とはいえ、市場全体が縮む中で、いかに巻き返すかは業界全体の課題。そこで、各社が期待するのがユニーク製品だ。酒税法の改正で、ビールの定義が見直される4月に向け、各社、新製品の開発に余念がない。

   今回の改正で、ビールの定義は、麦芽比率が「67%以上」から「50%以上」に『緩和』。麦芽、ホップという主原料のほかに使える副原料も、麦、コメ、トウモロコシなどに限られていたのが、果実、香辛料、ハーブ、野菜などもOKになる。これらを使うと、従来は発泡酒に分類され、ビールにこだわる層、高級志向の層にはアピールしなかったといい、今回の改正でビールの多様化、高付加価値化・高級化を狙えるというのが業界の期待だ。

   アサヒは、ハーブの一種のレモングラスを使った「グランマイルド」を発売する。アルコール度数は7%と高めながら、レモングラスの効果でのみやすくした商品だ。

   大手ではないが、クラフトビールでは大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)は、鰹節を原料に使う「ソーリー ウマミ IPA」を4月に発売予定。キリンもクラフトビールの新製品を準備中だ。

   ただ、こうした取り組みも、ビール市場全体の落ち込みをカバーするには限界がありそうだ。企業経営としては、各社、海外展開の強化などで、それなりの好業績だが、国内ビール市場を再活性化する方策は、簡単には見つかりそうにない。

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